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六角の花   作者: フミ
21/788

礎に押し上げられ

アキヨリは首に冷たい感触を覚えた


「ヒイィィィィングルル!!」


アクヤがいななき後ろ足でほぼ垂直に立ち上がりアキヨリと落ちて来た何かを振り落とした

ほとんど同時の出来事だった


アクヤの足元にはアキヨリとトウドウがもつれあっていた

間一髪アクヤは喉笛を切り裂かれようとした主を救ったのであった


トウドウの持った短刀をトウドウはアキヨリの喉元に突きたてようと

アキヨリは己から遠ざけようと

お互い自分の膂力を相手の膂力と打ち消し合い泥の中を転げ回った


「貴様!ジョスイが根の者トウドウだな!」


トウドウは一つも声を発さなかった

すぐ隣を進んでいたタキとナリマサが助太刀に入ろうとしたが

二十人程のトウドウの手下であろう深い藍色の装束の男達に囲まれ手を出せなかった


トウドウの手下達は素早い動きで四尺程の短い手槍をひっきりなしに突き立ててきた

相手を仕留めるというよりは牽制して時間を稼ぐつもりなのだろう


時間の経過それは今迄散々戦場を駆け回ってほとんど体力の残っていないアキヨリの死を意味していた


「アキヨリ様!今しばらくご辛抱!」


相手もかなりの手練れそれが時間稼ぎに撤している

仕留めるどころか焦って攻め急いだら討ち取られてしまうだろう


「どけ!どけと言ってんだろ!」


タキが最早捨て身にて そう覚悟したその時


「ううううぅぅぅ!!!!」


地獄の底から響いて来るような呻き声と共にナリマサがトウドウに飛び付き羽交い締めにした

トウドウが跳ね除けようもがいたが万力のようにじわじわ締め付けられるだけだった

ナリマサの腹から背中に手槍が貫通していた


「シジマの至宝!貴様のような匹夫に討ち取らせてなるものかぁぁ!」


タキよりひと足先に捨て身を覚悟して捉えきれぬ素早さを己が一身で捕えたのであった


「アクヤ早くしろ!もうもたん!」


ベキャドキャ!!


動きを封じられたトウドウの頭蓋はアクヤの後ろ足に踏み潰された


「叔父上ぇぇぇぇぇえ!うわああああ!!」


アキヨリは半狂乱になりナリマサを抱き起こした


「アキヨリ!感情を垂れ流すな

全てはこの国を一つにした後

お前はいつも鳥やら馬やら犬やら一緒だったな お前の子供の頃だ目に浮かぶ」


ナリマサの見開いた目は濁っていった


「うううぅぅぅんんん‼」


アキヨリは叔父の最後の言いつけを守り

嗚咽を力ずくで押し殺した


トウドウが死んだ事で手下達は音もなく退いて行った


間道には五月だというのに季節はずれの冷たい風が吹いて来た



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