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六角の花   作者: フミ
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侵食

「御館様…」

タキが去った後アキマサは黙祷しているのか感情を押し殺しているのか目を閉じ都の空に顔を向けたがすぐさま


「アキヨリ先ずは御苦労ジョスイが軍勢足止めしたこと褒めてつかわす

勝手に仕掛けたことはこの際不問といたす

時間が惜しい故手短かに言うぞ

先ずは大伯父位様と相談しトミナリ本城を落とす事となった」


「上策で御座います兄上

水攻めの堤防を切り力攻めいたすのですね

支城を守る敵も見過ごせず誘き出せること必定」


「そうだ お前の働きあっての策だ

おそらくジョスイがここまで辿り着くに一月はかかろう

十分落城せしめる時間はある

後はトミナリ本城と三つの支城を使い必勝の構えといたす

これ等を使えば奴らを駆逐する策はいかようにもあろう

早速堤防を切り崩しにかかる水流にて上手く行けば石垣を押し流せるよう手配した

明朝から城攻めにかかるぞ」


「腕がなります!是非このアキヨリに先陣をお任せくだされ!」


「ならん!

くたびれ侍では先陣など任せられん

お前には別の役目を与える

アトウに不穏な動きありと叔父上から知らせがあった

ジョスイと通じているという事もあり得る

この際詮議している間など無い

手勢を率い叔父上と合流してアトウを撃て

然る後とって返し攻め寄せて来たジョスイの軍勢を背後から襲うのだ」


「はっ!

アトウなど瞬く間に討ち取ってご覧に入れます!」


「ははっ頼もしいな

すぐに休んで明日に備えよと言いたい処だか

一つ頼みたい事がある

お前が都に赴いた直後の軍議で

内通者に目星が付いた

お前の上洛を聞き血相を変え引き戻すよう訴えた者がおる

この重要な時 我が軍の要を不在にするななどと白々しかったわ」


「トザキで御座いますかな?」


「何故分かった?」


「トザキは異国の神を信仰しております

それだけで家臣を疑いたくありませんが

この度の一件南蛮が裏で糸を引いているように思えてなりません」


「そのトザキに今から会い

一言でよい

只今都より戻ったと告げよ」


それはトザキが敵の内通者であった場合

露見した事を匂わせる

おそらく何らかの反応がある

アキマサはそれを突破口に尋問する腹積もりだった

暫くしてトザキが呼ばれアキマサの前に現れた


「殿 急な用とは?…!!!」


トザキはアキヨリの姿を目にして顔面を蒼白とし狼狽した


「只今都より戻った!」


アキヨリが怒気をはらんで言い放つと


「申し訳ございません!」


トザキは胸の十字架を噛むと痙攣して息絶えた

アキヨリの素早さをもってしても止める事は叶わなかった


「異国の神は自ら命を断つ事は許していないのではなかったのか!」


都合のいいように信仰心を利用する手口にアキヨリの爪は掌に食い込み血を滲ませたのだった



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