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六角の花   作者: フミ
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嘘は矛盾を呼び矛盾は疑念を呼んだ

急な任務に船内はあれやこれやと憶測が飛び交い

混乱とまでは行かないが川中衆四十六名にとって不安を伴う出港であった

川中衆とはヒデカツ直属の家臣団である

ナリカワ家の家臣達の次男三男つまり世継ぎである兄が存在する限り行く行くは用無しとなる

不貞腐れたあぶれ者達をヒデカツが集め組織した集団である

ヒデカツも同じ境遇であり拾って貰った恩義もあり結び付きの強い組織であった


名前の由来はナリカワ家の領地を流れる川の中洲に水運を利用した

川中町と呼ばれた商業拠点がありその運営をヒデカツが担っていて国本では川中殿という異名で呼ばれていた為である


憶測が飛び交っていた理由は二つ


一つは並走する得体の知れない集団を乗せた一艘の船

傭兵だと説明されたがなぜ傭兵などを雇うのか

ヒデカツ個人が動員出来る兵力は五千を超える

それはもちろん今日集まれと言って明日集まるものでは無い

よほど緊急を要する任務なのだ


もう一つは珍しくヒデカツがそんな家臣達の疑問に殆ど答えなかった事である

アキの国に向かう

ナリカワ家のこれからを左右しかねない重要な仕事である

知らされたのはその程度であった

数名を除いて


その数名とはヒデカツが特に信頼をよせる九名

彼等にはシジマ アキヨリがホウライ山に潜伏し乱を画策している

生き残りのシジマ兵を混乱させない為 隠密裏にこれを討つと打ち明けた

その九名の内に一人だけナリカワ家 家臣の次男三男では無い者がいた

カイトウ チョウジロウである

彼は百姓の生まれであったが機転もきくし腕も立ったのでヒデカツに見込まれ

川中衆の中でも特に側近として扱われていた

ヒデカツがニザエモンとリッカの屋敷に訪ねた時も同行していた


「ヒデカツ様

シジマ アキヨリが潜伏するというのは前回訪ねたあの屋敷で御座いますか」


「そうだ、陶芸家を装っていたが俺の目は誤魔化せん

まだ数名であるが手下を使い武器弾薬を集めシジマの秘術の数々を復活させようとしている

世に知れたら大きな混乱を生む

お前達九名は彼奴の手下を人質にとるのだ

彼奴が逃げに徹すれば討ち取るのは困難となる

変に情に厚い彼奴は人質を取られれば無視出来んだろう

手下どもは騙されて手伝わされているようだ手荒な真似は無用ぞ」


美しい陶芸家を救い出すのでは無かっただろうか

であったなら人質になどとったところで何の意味も無いだろう

しかしそんな矛盾など今のヒデカツには無いのも同じである


チョウジロウは考える


「アキヨリ殿が生きていた、

あの方が乱?

あの方はそんな世俗的な人物か?

侍ながら欲や野心とは無縁などこか浮世離れした神秘的な方であっただろう

何かあるに違い無い

俺は百姓だ、こんな秘密を知らされて この先も生きて行けるのか?

この一件が終われば消されてしまうのではないか⁈」



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