第十一話 -俺と神の欲する物-
本編はここからです。
街に戻ると、もう大陽が昇って来始めていた。
「約束の……」
「あー、その件ならもう止めにしよう。俺はこの世界から抜け出さなければいけないから付き合ってる暇は無い」
「あ? じゃああのまま俺が放っといたらお前どうなってた?」
「え……死んでたんじゃ無いのか?」
「そうか。じゃあ今ここで……」
「まままままそう焦らずに。金以外の物で代用出来ないかな?」
「例えば?」
「え? 例えば……」
さあ何を渡す俺。金は殆ど無い。他に持ってるのは、頭蓋骨……。無理だな。あ仙骨もあるぞ! っている訳が無い。じゃあ何だ釜か? あの大釜を……てか釜なんて神様が使わないし。
「例えば?」
「え、か、釜とか……?」
「大きさは?」
「いや、あのぶっ飛んだくらいデカいの。うん」
「最高だ。君は英雄だ」
何だこの人。釜を渡すと聞いた瞬間目が輝いた様に見える。やはり変人っ。
「でその釜何に使うんだ?」
「ポーションとか言うのを作るからなんだ」
ポーションを作るのかこの神。
「俺も協力して良いか?」
「しょうが無いなぁ。今回ばかりは許してあげよう」
偉そうに。
「神様さん家は何処?」
「そこにある薬局」
指を指した場所はシャッターが閉じている一軒家。
中に入れてもらうと、そこは釜やら瓶やらが散乱していてめちゃめちゃ。
「ここに小さい釜があるでしょ? これが小釜。でこれが中釜。で今必要なのが大釜。レベル高めの薬を作るのに必須アイテムらしい」
「へぇー」
確かにこれらの釜と比べると大釜は比にならないくらい大きい。ざっと中釜の2倍だな。
「大釜は今何処に?」
「道具屋に預けてる」
「あ、そうなんだ。もう取って来てくれ」
「分かった」
俺は一時的に別れ、道具屋を目指した。
ああ、それにしてもさっきはラッキーだったな。俺のLUKが高く無ければあの神の攻撃で間違い無く死んでいた。俺のLUKは神からの贈り物ってやつか。
っと訂正。あれが神なら神からの贈り物ではまず無いだろうな。
路地を曲がると道具屋が見えて来た。