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第一.五話(一話と二話の間です)(一応本編)

タイトル通り、第一話と第二話の間です。はるの幼い頃の思い出の話になっています。はるは寝ているので、夢ですね。

幼少期(八歳のころ)の話です。姉さん、とはるが呼んでいるのは双子の姉、莉愛です。

設定とかなんだとか投稿したあとにこれですみません、こちらは本編になっています!

第一.五話



 ぱちり、とピースがはまる音がする。

「はる、見て。綺麗だねぇ…」

姉さんが嬉しそうに微笑んで、できたばかりのパズルをなぞった。この蔵の中の、唯一の僕のおもちゃ。夕焼けの「海」の、とっても綺麗なパズル。橙色のその色が、姉さんの髪の色みたいで、すごく美しい。

 そんなはずないのに、この色が姉さんがそばにいてくれる気がして。もらってもう随分経つのに一個もピースを無くしていない僕の宝物を、姉さんの指が優しくなぞる。ほっぺにあたる橙色の髪がくすぐったくて、これ以上ないほど愛おしい。

「へくちっ」

姉さんが小さくくしゃみをした。

「姉さん、寒い…?」

僕に毛布を貸してくれたから、姉さんは何も羽織っていない。部屋から抜け出してきたままの服装だ。たぶん、僕の服よりはずっとあったかいんだろうけど、でも僕はここにいるのなんて慣れているから、姉さんが風邪を引いてしまわないか心配だった。

「ううん、平気!…でも、そろそろ帰んなきゃだね。父さんにバレたら怒られちゃうもん」

少しいじけたように、姉さんが言う。そうだよ、こんなところにいて、姉さんが怒られちゃったら、怖い。さすがに父さんも僕にするみたいに蹴ったりはしないだろうけど、何もないのが一番良い。

「じゃあね、はる。また明日来るからね。…約束だよ」

差し出された小指をそっと、自分の小指と絡ませる。同じ大きさのその手は、びっくりするほどあったかくて、柔らかくて、でもやっぱり小さかった。

 がたんと二人で体重をかけて戸を開けると、寒い空気が流れ込んでくる。

 ひゃ、と同時に首をすくめて、顔を見合わせて笑った。

 手を振って、姉さんが屋敷のほうに走っていく。すごく寒いけど、最後まで見送りたくて、土が足につくのを感じながら外で風に吹かれた。

 八歳にしては僕も姉さんも、小柄な方だったんだって。姉さんは自分のご飯をわざと残して僕にくれていたんだって気づくのはもっと、後だった。



 

思ったよりもたくさんの方が読んでくださっているみたいで驚きました!

手に取っていただき(?)ありがとうございます。投稿の仕方すら危ういんですが、ちまちま書いていけたらなぁと思っています。

今回もここまで付き合ってくださりありがとうございました!

この物語が、あなたの心の片隅の端っこの奥の方(…?)に少しでも残っていたら嬉しいです。

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