第5話 衝撃と異変
さて、レベル上げの手段も見つかったし、ここから色々な冒険やイベントが待ち受けているはず。
はずだったのに――……。
来る日も来る日もネズミネズミネズミ!
どれだけ倒しても無限沸きのごとく現れる。マジでどこから来てるんだ。
おかけでレベルはそこそこ上がったけど、流石に三週間もネズミ駆除を続けていると飽きてくる。その原因はステータスにもあった。
【名前】アヅマ・サジン
【称号】名も無きダンジョン
【レベル】8
【種族】ダンジョン
【職業】ダンジョン
【ステータス】
HP:7500
MP:2000
ST:∞
POWER:0
SPEED:0
LUCK:50
【スキル】
・視界B+
・増築C
・改築C
・生産C
・吸排D+
【魔法】
・未習得
レベルが上がったこと以外何も変化がない。
HPやMP等の数値も一向に増えないし、称号やスキルの種類、そしてランク表示も一緒。
目には見えない変わった部分でいえば、増築スキルの石材生成数増加。
そして改築スキルで一度に操作できる石材数も増えたことだ。
今では同時に20個まで自在に操ることができる。
俺は石材を浮遊させ、ジャグリングの要領でまわしてみる。
これはこれで超能力のテレキネシスを習得したようで楽しい。と言っても操作できるのは、あくまで俺が生成した石材のみなのだが。
しかしこのスキルのおかけでネズミ駆除も捗るようになった。
わざわざ二段構えのトラップを準備しなくても、ネズミが逃げられない範囲と高さの石壁を作り取り囲むだけで事足りる。
俺はこのままネズミ駆除の仕事を永遠に続けていくだけのダンジョンなのか?
そんな事は思いたくないのだが、それにしたって数が異常に増えてきている。
当初は1日に数匹見かける程度だったのが、視界スキルで少し覗いていない部屋を見に行くとめっちゃ増えててビビった。
それとネズミの中に少しだけサイズの大きい個体が稀にいる。
種族名ラットンは変わらず同じなのだが、何か少し嫌な予感がするのは気のせいだろうか。
そんなことを考えていた折に事件は起こった。
人間だった頃からそうだ。
悪い予感だけは見事に的中したりする。
(――ッ!?)
衝撃と共にダンジョン内が大きく揺れるのを感じた。
俺は衝撃の元を探すようにして視界を切り替える。
(ここじゃない、ここも――、そっちか!)
石壁が崩れ、ダンジョンの通路に大穴が空いている。
それは力任せに破壊された痕跡だ。
通路内には土煙が充満し、破壊された際の衝撃の強さを物語っている。
ガラガラと瓦礫が落ち切った後、〝それ〟は俺の前に姿を現した。
(コイツは……)