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第4話 レベルを上げよう③

 俺のダンジョン生活も5日が経とうとしていた。

 外の様子も分からないし、時計もないので体感でしかないけどね。

 しかし第二次ネズミ討伐ミッションの算段はついた。それを今から実践していくのである。


 俺は前回と同じように石材をネズミが行き交うルート付近に用意した。

 やがて小穴から姿を現したネズミに照準を合わせる。

 慎重に、しかして仕留める際には臆することなく殺意を込めてスキルを唱えた。


(やれる――ッ!)


 以前同様にネズミめがけて石材が飛んでいく。

 そして、それを直前で察知したネズミはきびすを返し、自分が出てきた小穴へと猛ダッシュする。

 ここまでは〝ほぼ〟前回と同じ流れ――。

 しかし飛ばした石材はネズミ1体分だけ僅かにズラしている。

 それはえて小穴へと逃げ戻るように調整するためだった。


(今回は隙を生じぬ二段構えだ!)


 ネズミが小穴へと逃げ込もうとした直前、天井に仕掛けておいた石材を操作し急降下させる。

 石材同士を三枚重ね合わせ、大きさと重量を増す。

 改築スキルの操作と増えた重量の乗算によって、その落下スピードは平行に石材を飛ばすよりも画期的に速くなった。名付けてドッスン作戦。


 石材が床に落下し土煙が僅かに舞い上がる。

 ネズミはその下敷きになり、石床に赤黒い血が広がっていく。

 図らずもネズミは俺が人間だった頃と同じ末路を迎えた。


(……ごめんな)


 それから俺は同じ石材トラップを使いネズミを駆除しつづけた。

 そして4日間かけて7匹目を倒した時――


【レベルが2になりました】


 視界にポップアップが表示され、俺のレベルが上がったことを告げる。

 ここまで時間を要したのは、一度ネズミを殺した場所は次に現れるまで少し間が空くからだ。おそらく残った血の臭いなどで警戒されたのだろう。

 なので各部屋と通路をローテーションで回っていた。


 モンスターとはいえ命を奪ったんだ。気分が良いなんてことはない。

 それでも俺はレベルを上げて、このダンジョンを広げるために努力をする。

 それに何の意味があるのかまだ分からない。分からないけど、ここで立ち止まって何もしないでいることなんて出来ない。

 俺がダンジョンとして転生したのは神様の気まぐれか。それとも何か理由があるのか。

 俺がそれを知ることになるのはもう少し後の話しだ。


 ちなみに驚いたのはレベルアップの効果だ。

 なんとレベル2になっただけで、増築スキルで1日に生成できる石材の数が倍になった。

 つまり今は1日に20個の石材を創れる。この計算のままでいけばレベル10で100個。

 ダンジョンを広げるための素材は多いに越したことはない。


 ただし、まだ問題は山積している。

 石材はあっても肝心のダンジョンを拡大する手段がまだ無いのだ。

 つまり現代で言えばスコップやツルハシ、ドリルなどの壁を掘削する道具や機械が必要不可欠。

 これに関してはマジでノーアイディア。

 手持ちのスキルではどうにもならないのが現状だ。


 なので次のミッションは『ダンジョンの掘削方法を探そう』ということにする。

 


 

 


 

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