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永遠にモノローグ  作者: かな
7/13

夢と式

13

翌日、着替えがないから帰りたいと父に言ってみた

父は、何でだ? と驚き、高貴そうな方々がこちらを振り返った

そこで別の部屋で話をすることにした

着替えがないと繰り返すと、父は分かったと頷き、弟を探し出せたら帰っていいと言う


弟のいるところなんて簡単に探せるのに、と思いながら、弟の気配を追って部屋に入り、クローゼットを開けて隠れていた弟を引っ張り出した

父は居場所を知っていたのだろう

弟は、へらへら笑いながら、せっかく隠れたのにと言った


目が覚めると、実家にいる最終日だったから、すぐに弟に夢の話をした

弟は、目覚めるとポーター(弟は式をそう呼ぶ)がいたと言った

ご無沙汰してます、これからもよろしくという風情ですぐに去ったらしい


弟は寝ぼけながら後を追い、朝のはやい兄を見かけたと言う

そして弟は、兄にはポーターが見えていなかったようだと言った

兄は寝ぼけながら歩く弟を一瞥し、はやく着替えろというように顔をしかめたが、ポーターには一度も目線をやらなかったと


14

何がどうなったのかは分からないが、弟と思案して、最終日ということもあり、また氏神さまに挨拶に行くことにした


境内に着くと、さあっと心地よい風が吹いて、2人ともを神さまが歓迎してくれているような気がした

祝詞があがっていることなんて滅多とないのだが、境内では太鼓と笛の音が響いていて、どこかお祭りのような賑々しさがある


不思議に思い、弟と顔を見合わせながら参拝をする

帰り際にまた、さあっと風が吹く

風になびいた髪を直すと、目線の先にある木陰にいつもの式と、式を羽交い締めにしていた別の式とが見えた

2つの式は、今は仲が良さそうに連れ添って、ごめんねというように少しはにかんでいるようだった

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