実家と夢
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実家には3日間滞在した
式が現れないものだから、ただ弟と遊びに出かけて、ただ楽しく時間を過ごした
一応実家の氏神さまには弟と一緒に参拝をしたが、ひどくしんとしていて、神さまも式もいないのが当たり前のような心地がした
ポーター(弟は式をそう呼ぶ)は、いてもいなくてもあんまり変わらないねと弟は言った
些細な用事ばかりだったから気にしないでしてきたけど、無いなら無いで別にいいやと
自分もこのまま見えなけば、部屋から家紋を外してしまってもいいかもしれないと思った
兄は普通の人がいいみたいだけど、見えてても見えてなくても何も変わらないのに、と弟は不思議そうな顔をした
確かに外から見れば、自分も弟も以前と何も変わりはないだろう
12
夢を見たのは、滞在の最終日だ
親が迎えに来て、その車で親戚の家まで行った
お盆なのかお正月なのか、たくさんの親戚が集まって、親戚の家なのにホテルのパーティー会場のようにきらびやかだった
まるで社交界のように、顔も見えない人々が着飾ってお酒を手に笑いあっている
かと思えば、記憶にある集まりのようにお盆にお菓子が乗せてあったりもする
着替えは親が適当に詰めてくれたらしい
それを確認しようと荷物を持って、用意された2階の客室へ行こうと思った
階段に足をかけると、バランスを崩して落ちそうになる
調理をしていたおじさんが気付いて振り返る
そのときにはバランスを取り戻して、大丈夫と笑っていた
台所では、ひそひそと話し声がした
あの子が長男だから、とか
まさかそっちに行くとは思っていなかった、とか
そんな言葉が漏れ聞こえてくる
2階について荷物を確認する
けれど、中はほとんど空っぽで着替えという着替えも入っていなかった
お菓子が入っていたので、2階にもあった菓子盆にお菓子を入れておく