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永遠にモノローグ  作者: かな
4/13

みつうろこ

7

弟は飄々としていて、何となくで世の中を渡っているように見えるが、打てば響くように賢いことを言う

彼からすれば当たり前なのだろうが、気付かなかった答えを嫌味なく教えてくれるから有り難い

紋はうろ覚えだったが、色々と調べるうちに三鱗みつうろこの紋だと言うことも分かった

神社を調べると、いつも行く氏神さまとは反対方向で、迷いはしたが一応氏神さまにも報告してから行くことに決めた


朝がいいだろうと、7時ごろに気合いを入れて氏神さまを訪ねてみた

街も境内もまだ、しんとしていて、それでもチラホラと地元の方が参拝に訪れている

不思議なのは、いつ行ったとしても歓迎してくれているような雰囲気が今日は無かったことだ


まだ神さまも寝ているのかもしれないな、なんて思いつつ、いつも通り鳥居の前で1礼し蓮池を渡る

手を清め報告をすると、何となく御簾の向こうで何かが動いた気がした

背を向けると、待てと慌てた声がしたが、もう決めてしまったのでそのまま三鱗みつうろこの神紋がある神社へと向かう


神さまの声が聞こえることは珍しいから引っかかりはしたが、鳥居の前で嫌な気がしたら引き返せばいいと思っていた


8

三鱗みつうろこの神社へ着くと、不思議と静謐で嫌な気が何もしなかった

参拝客は誰もいない

初めて来る神社なのもあって、失礼のないように気をつけてお参りをする

少し探しものをさせて下さいと祈り、境内をひと通り見て回るが、式はどこにもいなかった


式に何かあったわけではないのかもしれない

神さまが待て、と言ったのも何もしなくていいからだったのかもしれない

けれど、それから更に1週間経っても式は現れず、弟からも最近姿が見えなくて不思議だというメールが届いた


とはいえ、弟はポーター(弟は式をそう呼ぶ)は気まぐれだから、またひょこっと現れるだろうと言っていた

いつもの式と一緒にいた、いつもと違う紋をもった式の話もした

その神社に行ったけれど、何も無かったことと、氏神さまから待てと言われたこと


弟は、待てと言われたら待つしかないのじゃないかと呑気なメールを返してきた

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