おしまい
5
一方、一番上の兄は全く見ることも聞くこともなくなったようだった
元々見えているのかいないのかも良く分からなかったから良いといえば良いのだが、こちらが見えていない間に何かがあったはずなのに、それすらも忘れているようだった
これまでの、目線が式へと泳ぐ仕草で、何となく見えてるんだろうなと思ったり、そんなことの一切が無くなった
もっと言えば、その記憶全てが無いのじゃないかとさえ思う
それほど当たり前に、というか、それほどに彼からはおかしさが消えていた
まるで人が変わったかのように、兄弟の中で一番まともになってしまったようだ
試しに式のいる方角から手を振ったりもしてみたが、その目線は1度も式に向くことは無かった
一家の長男たる横柄さはそのままだったが、嫌な感じはしない
彼は何となく、自分や兄が式とつるんでいるのを分かっていて、あえて嫌がらせをしていた部分もあったんじゃないかと思った
1度見えなくなってから、式も少し変わった
以前よりも近しく、どこか気さくささえ感じて、いい予兆や嫌な予兆を送ってくるようになった
それはただの直感なのだが、式や神さまの優しさが降り注いでいるようで、とても嬉しかった
式の見える兄は、2つ見えるようになったらしい
彼らはどうやら親戚で、兄のことが気に入ったのかもしれないと思う
彼は優しいから、兄には2倍加護があればいいなと思う




