戦闘
「僕がいなくなったら、その最強の武器すぐ壊れちゃうんだけど」
僕は離れて行く勇者に向かってつぶやいた。
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「さてどうしようかな」
僕は勇者のパーティを追放されてつぶやいた。
彼らは僕がいなくなってしばらくしたら困るとして、いまは僕が困っている。今まで使っていた宿も使えないだろうし。
「とりあえず近くの街まで行くか」
僕はとぼとぼと近くの街に向かっていった。
なかなか悲しい現実だった。
最強パーティを抜けて今からどうしよう。
「みぐるみ剥がされたわけじゃないから、いなくなった仲間の分の武器とかを売れば暮らしてはいけるか」
僕はつぶやいた。
勇者達も鬼ではなかった。
普通に暮らせる程度のお金はあるのだった。
ただ、魔王討伐の代金。一生暮らしていけるぐらいの大金の山分けをしたくないだけだったのだ。
「とりゃぁ」
女性の声が聞こえる。
少し離れたところのようだ。
姿は見えない。
「戦闘かな」
僕はつぶやきながら、その戦闘が行われているであろう方向に向かっていった。
僕らのパーティではない誰かが戦闘しているようだ。
「くっ、倒せない!!」
女性の剣士はつぶやいた。
激しい死闘を繰り広げているようだ。
ここは最終に近いフィールド、敵が強いのも確かだ。
「苦戦しているね」
僕はそういいながら戦局観察していた。
女性三人のパーティとモンスターが対峙している。
敵は一体。
「敵はグレートタイガーかぁ」
僕は言う。
なかなか強いモンスターだ。
終盤だけはある。
「おっと!くらわないわよ!」
彼女はそう言いながらグレートタイガーの攻撃を避けた。苦戦はしているものの、一方的に負けているわけではなさそうだ。
「おお、すごい。身体能力はかなり高いね」
僕は言う。うちの勇者パーティのメンバーより身体能力たかいんじゃないか。いや、元うちのメンバーか。
「とりゃぁ」
彼女は剣を振り下ろす。
ズシャ
グレートタイガーに攻撃があたる。
「すごい太刀筋もいいね。これはかなり強いんじゃない?なんで苦戦してるの?」
僕がつぶやく。そうしっかり戦えているのだ。
相手の攻撃は避けられて、自分の攻撃は当てられている。
普通なら勝てると思うところだ!
「攻撃が全然通じないの!」
彼女は言う。
ぼくに応えるように説明してくれた。
「ふむふむ。冒険者の剣か・・・なんでその剣でこんなところまで来たの・・・?」
僕は呆れながら聞いた。この剣は初心者用の剣。とてもこの終盤ステージのグレートタイガーに通じる武器じゃない。
「村のみんなを助けるために、早く先に進みたかったからよ!」
彼女は言った。
事情があるらしかった。
彼女達は駆け出しの冒険者。
身体能力は高い。
しかし、武器は弱くこのままだとジリジリやられてしまうだろう。
「ねえ、手伝っても良い?」
僕は彼女に聞いた。