表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/81

それはどんな花束よりも

お嬢様とお母様。

 カッと目を見開いたり、悲しげに顔を伏せたりと小言で忙しくなった父をなんとか宥め、イザベルは母の元に逃げ込んだ。母は菫色の瞳を丸くし、可笑しそうに吹き出した。

「それは説明を省いたイザベルが悪いわね。もっと相手の気持ちや立場を考えなさい」

 兄にも説教されたばかりである。気をつけます、と答えると母の手が頭を撫でた。


「そうねえ、一番嬉しかったのはお父様が温室を賜ったときかしら」

 気を取り直して統計への協力を頼むと、母はおっとりと笑った。

 父が博覧会での功績を認められ、王室から温室を下げ渡された話だ。父は丸ごと母に贈ろうとしたのだが、母がやんわりと断った。金と暇さえあれば研究に籠もることを好む父には王室ゆかりの温室の管理は向かないだろう、と。結果として、現在、その温室は王立魔術研究所に研究施設として貸与している。季節の花が咲く度に父に連れられて兄もイザベルも小さな頃からいつも足を運んだ。

「あのひとのひたむきな研究が認められてもちろん嬉しかったわ。でもね、季節の花を楽しむ気持ちを家族と分かち合おうとする気持ちが何よりもわたくしは嬉しかったのよ」

 とろりと淡い菫色の瞳を和らげる母はなんだか眩しくて、可愛くて。イザベルも思い切り頬を緩めて頷いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ