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王子様たちのいつも

王子様とお嬢様とお兄様たち。

 唐突に扉が開き、末弟が座したまま飛び上がって驚いた。なかなか器用である。

 ぐしゃぐしゃに乱れた髪のまま「どうしてここに……」と震え声で呟く末弟にびっくりしたのか、少女も淑女の礼を忘れたまま紫水晶に似た瞳を三度大きく瞬いている。


「叔父上から早馬の知らせがあったので、急ぎお届けに参りました」

 疑問には、少女の後ろから顔を出した次弟が答えた。いつもながら静かな声音だ。

「僕は人間専門ではないのですが、うちの末弟には昔からこちらがよく効くでしょう?」

 獣医の次弟は眉一つ動かさずに少女の背を押した。おろおろと少女が瞳を揺らす。

「お前ねえ……」

 兄弟の中でも一番愉快な愛称「氷の王子様」を持つ第三王子こと次弟を見やり、彼も頬を思い切り引きつらせる。が、次弟は気にせず足元で甘える子猫をそっと抱き上げた。

「兄上、いつまでぼさっとなさっているんです? さっさと退出してください。ヘンリー・ローには特効薬が大至急必要です」

 愛称の通り、この弟は兄弟の中で誰よりも冷静で判断が早く容赦がない。「はい、はい」と軽く両手を上げて立ち上がる。縋るようにこちらを見上げる末弟に笑い返す。そして、一つだけ耳打ちをして彼は次弟と共に軽やかな足取りで客間を退出した。

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