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あいつこそが王子様
おうじさまvs.おうじさま
おそろしいこ。
次兄は相好を崩し、末弟の銀髪を撫で回した。くすぐったくてヘンリーは目を細める。が、兄は急にその手を止め、彼と同じ色合いの青い瞳を大きく瞬かせた。金色の眉で深い影を刻み、ヘンリーの顔を覗き込んでくる。
「ときにヘンリー・ロー。お前がタイニー・ベル嬢に贈ったのは、あの猫型自鳴琴?」
「そうですよ。昔、叔父上にいただいた銀毛に青い目のあの子です。タイニー・ベルの相棒のぬいぐるみにそっくりでしたから」
手渡した瞬間のイザベルの愛らしい笑顔を思い出し、つい頬が緩む。しかし、返事はない。怪訝に思って次兄を見上げると、何故か両手で美しい顔を覆って天井を仰いでいる。
「無自覚に自分の色を贈るとは。王子様か?」
兄はよくわからないことを震え声で呟いた。





