外から見たら大騒ぎ
おにいさまとおかあさま。いっぽうそのころ。
心臓が早鐘を打つ。侯爵子息は思い切り眉を顰め、早足で玄関に向かった。
先刻、王宮から早馬で使者が来たとの知らせがあった。王宮には妹が父と共に参上している。母が一瞬にして顔色を失くしたので、自分が代わりに出ることを提案したが、気丈にも静かに首を振られた。あれから随分と経つが、母の戻る気配は一向にない。
玄関ホールの小さなソファに母が白い顔で呆けたように座り込んでいた。駆け寄ると、母は黙したまま細い指で机を指した。覆われた布を取り払い――息を呑む。
「……これは何ですか?」
「……これは絵です」
教科書の初級会話の如き応答である――そこには猫が優雅に毛づくろいをしている隣で第二王子が長い足を組み、その向かいでは、妹、父、第四王子の順に長椅子に並んで座る姿があった。鉛筆画であるが、公爵閣下ご自慢の猫の毛並みは見事な筆致でふわふわ描かれている。三国一美しいとされる第二王子は睫毛一本さえも光り輝く勢いだ。
また猫と和解できなかった妹を嘆くべきか。第二王子が面接に臨む構図にしか見えないこと、猫一匹分の代理の割に父はやはりでかすぎることを指摘すべきか。彼は山ほどある言いたいことで痛み始めた頭を押さえ、母の元に温かい茶を至急届けるよう命じた。





