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おかわりはノンシュガーで。
王子様vs.弟とその小さな婚約者feat.おとうさま。
雲のようにふわりと置かれた生クリームになめらかなチョコレートソース、サクサクのメレンゲとの豪華共演を果たしたアイスクリームの登場に少女が腰を浮かせた。が、隣に座る父親の顔を見上げ、おずおずと着席し直した。飛び上がって喜ぶのははしたないことだと思い出したらしい。
背を正して静かに丁寧にスプーンを扱う姿は小さな淑女そのものである。けれども、一口運ぶたび、金髪を震わせ、菫色の大きな瞳に星を瞬かせるのは隠しきれていない。
末弟が自分の皿から取り分けたアイスクリームを侯爵に断り、少女に差し出した。くすぐったそうにきゅうと眉を下げ、少女はとろけそうなくらいやわく頬を緩める。末弟は爆ぜる勢いで顔を朱く染めたが、見慣れた青玉は甘くいとおしむ眼差しをしていた。
第二王子は侯爵と自分の紅茶には砂糖もミルクも一切不要だと指示を出した。





