さいきょうのたて・王子様編
おうじさまとおうじさまのおにいさまvs.おじょうさまのさいきょうのたて。
兄上とイザベルの兄君にも声をかけるべきでしたね――
叔父が自慢の猫を貸してくれたのでイザベルを王宮に呼んだ。彼女の兄君の招待を失念していたことを詫びると、彼と仲の良い友人である次兄は目を丸くして噴き出した。
オーキッド侯爵邸に自分が通うようになったのは、暇を持て余す自分に次兄が声をかけてくれたのが始まりだ。兄のお供の訪問だったのが、あの子と陽だまりの満ちたサロンでピアノの連弾やおしゃべりをする楽しい時間に変わった。それはやがて、婚約者に会いに行く自分のついでに次兄が馬車に便乗して友人と会う形に変わっていった。
「俺もあいつも馬には蹴られたくないからね、お前たちのついでくらいがちょうど良い。それはそれとして、弟よ。お前の可愛い婚約者殿を今日はしっかり護ること。王子様力だけじゃなく騎士様力もしっかり鍛えたまえ。二人きりの時間こそ鍛えるチャンスだ」
次兄は美しい青玉の瞳をやわらかく細めると、さっさと退室するように手で命じた。
様子見も兼ねてお茶の時間を伝えに来た次兄は頬を掻いた。イザベルと自分、その間に座るオーキッド侯爵を見つめて瞳を伏せた。ややあってから厳かに宣言する。騎士様力はまた今度、と。叔父ご自慢の猫がリボンで作られた輪の中でみゃうと返事をした。





