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家訓ですので。
おうじさまvs.代打のおとうさま
ねこですよろしくおねがいします
おまねきありがとうございます、とイザベルが丁寧に淑女の礼をした。小さなレディの愛らしい挨拶に、控えている護衛も微笑んだ。回廊の大きな天窓から降りる陽光が少女の金色の髪に淡い天使の輪を作り、大きなアメジストを思わせる瞳を煌めかせている。
「お気に入りのあの子は今日はどうしたのかな?」
いつもの大きな白銀の猫のぬいぐるみが見えないので尋ねると、彼女の父親であるオーキッド侯爵が代わりに丁寧に腰を折った。
「殿下、ご機嫌麗しゅう存じます。重ねて本日のお招きに感謝申し上げます。猫一匹の代わりに私が参上いたしました。よろしくおねがいします」
とりあえず首を捻る。すると、イザベルが小さく笑い、両手で口元に筒を作った。秘密を打ち明けるように小さく囁く。いつものあの子は洗われて今はお庭で日向ぼっこしています、と。





