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続きはまた明日
年の離れたお兄様と妹と夜の帳。
「おとうさま、まだかなあ」
父はまだ戻らない。研究所から遅くなる連絡はあったので母と妹と先に夕餉は済ませたが、まだ一向に戻る気配はない。
窓辺に椅子を運んで夜空を見つめる妹は、何度も呟いては床に届かない足をぷらぷら揺らして退屈そうだ。本を読む傍ら、星の名前を教えてやることにした。
一章分読み終えた。伸びをしながら、そういえば質問がなくなったなと思っていたら、妹の瞼はついに落ちていた。父から贈られた大きな白銀の猫のぬいぐるみの背に小さな頬を埋めている。
膝掛けを差し入れがてら様子を見に来た母に、彼はそっと人差し指を立てた。





