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一刻千金
第三王子と叔父、弟とその婚約者。
猫に逃げられた弟たちのきらきらしい視線はまだ理解できる。が、叔父からの熱い眼差しは何だろう。目を潤ませているのが少々気にかかる。と――弟の小さな婚約者が叔父の袖を引いた。令嬢の動きにつられ、大きく傾いた猫のぬいぐるみの背を弟がそっと支える。
「おじさま、目が痛いのですか?」
「うん。おじさまの息子たちは反抗期真っ只中でね、君たちのような眩しい子ども時代を見ていると胸に刺さるものがあるんだ……」
父親にたまには優しくするよう従兄弟たちに明日にでも学校で進言しようと第三王子はこっそり心に誓い――
「そんなわけで、この瞬間を大事にしたくて宮廷画家を大至急呼んだからよろしく頼むね」
あっさり中止することにした。





