新たなスタート 〜恐怖の始まり〜
新学期が近づきつつある今、僕は新たな生活に思いを巡らせていた。
初めての一人暮らし。
初めての自炊。
初めてづくしだ。
そんな中、初めて借りた部屋で不思議な事があった。
それはね?
部屋の隅にあるそこだけ違う壁があるという事。
借りる時には気付かなかった。
家財道具があったから。
前の人が残していったと聞いた。
あんまり気持ちのいいもんじゃない。
けど家賃も手ごろだったので即決してしまったのだ。
その後起きる事を知らないまま…。
持ってきた家財道具の邪魔になるのでゴミ出しの日に全て出した。
それからだ。
おかしな事が起きはじめたのは。
はじめは小さな物音だった。
隣の住人が騒いで出た音なのかと思ったが、この部屋、防音機能が備わってて確か…聞こえないはず。何で?
首を傾げた。
でもね、その音が聞こえるのは決まって深夜なんだ。
たまたま時計を手にして見た時間は深夜の2時半。
眠い…。
そりゃそうだ。
寝たの12時だったから。
1人だからだらだらと過ごしてて気がついたらその時間になってしまって…朝起きられるのか不安だったのだが、この音に起こされて今はもう目が覚めてしまっている。
誰もいない部屋。
僕だけの城。
なのに誰かいるような気配を感じる。
仕方がないので電気をつけようとスイッチのそばまでやってくると電源を入れようとボタンを触る。
でもね、電気がつかない。
何で?
球切れにしては早すぎる。
というか、いつつけられたものなのかはわからないからなんとも言えないのだが…。
でもさ〜、普通変えるでしょう。
だからおかしいんだよ。
何度もカチカチとスイッチを触る。
それで何度目かで電気がついた。
その時背後に誰かいる気配を感じた気がしたんだ。
首を徐々に背後に向けていく…。
するとさ、人を見た気がしたんだよ。
慌ててしまい、「わぁ!?」と叫んだが叫んだと同時に背後を見るがだーれもいない。変だよね。
それで怖くなって友人にそのことを話した。
なぜきてもらわなかったって?
ここの寮は家族の同性以外の泊まりはできない決まりだから。
だから今は友人宅に来ている。
そこは特別何も言われないらしい。
騒ぎとかあれば別なのだろうが…。
「マズイよ。そこってもしかしていわく付きの物件だったんじゃないのか?」
「えー!そんなの人に貸す?まじ無理だって〜。」
「人1人に間に借りて貰えば誰に貸しても文句は言われないらしいよ〜。」
「だからあんなに安かったのか…。」
「あんなに…って、どの位?」
言われて指を4本出した。
「やっす〜!お前それ聞いてなんて思ったんだ?」
「やっす〜。」
友人はガックリしていた。
確かにここら一帯は人気で、アパートやマンションなどが多く存在する。
だから値段は調べるも似たような値段ばかり。7万円程が相場らしい。
「どうするの?お前その手のは苦手じゃなかったっけ?」
「そうなんだよ〜。どうしよう??」
「さっさと引っ越したら?親に泣きついたらすぐになんとかしてくれるって。」
正直親も安いところを探して決めたんだよね。
何度も通って…。
で、いざ住んでみたらこんなんだったなんてどう言えばいい?怒られないかなぁ。
半年分前払いで振り込んじゃってるんだよね〜。
レンタルとかもしてるし。
仕方がないから父親を呼んで試しに一緒に寝てもらった。
するとね?やっぱり音がするんだよ。それも夜中の2時半に。
父親は初めは気付かずに寝ていたよ。
でもさ〜、僕見ちゃうんだよ。あの壁紙あたりを…。
そこでさ〜父親を起こしてみることにしたんだ。
でもさ…おかしいんだ。
全然起きようとしてくれない。
まるで誰かに寝かされてるって感じ?
で、思いっきり叩いて起こしたよ。
そしたらさ、ものすごい剣幕で怒られた。
「なんで起こすんだ!」てな具合にね。
そしたらさ、父さんその問題の壁に向かって指差して言うんだ。
「あれ、何だ?」
はじめは何のことだかわからなかったが、少ししてピンときた。
例の場所を指してるってことに気づいたんだ。
そしたらさ、父さん何がおかしいのかケタケタと笑いだしちゃってもう大変。
「父さん、何が面白いの?そこ…やばい場所だって。」
「どこがヤバイって?」
そう言いながらヒラヒラと手を振ってみせた。そしてあろうかとか近寄っていく。
空気はどす黒く感じた僕は父さんを何とか引き戻そうとするも、異様なほどの力で引っ張れない。
そこで僕は片手で父さんの腕を掴み、頬をひっぱたいた。
そこではじめて意識を取り戻したのか父さんの様子が変わった。
「な、何でこんなところにいる?なんかに引っ張られてる、おい、何とかしてくれ。」
「何とかしてくれっつったって…。」
僕はとっさに思いついたことを行動に移すことにした。塩だ。
そう言えば悪霊とかが出た時テレビではよく清めの塩なるものを辺りに撒いてたな。そう思っての事だ。
「エイ!」
気になる場所に塩を振った。
父さんも見ている。
と、ふいに体が軽くなったのか父さんは慌てて僕のそばにはってきた。
「何なんだよ?今のは一体??」
「父さん、この部屋なんか不気味なんだよ。なんかいそう…。」
「なんかって何だ?」
「霊…とか??」
「はぁ?何を言っとる。そんなものおりゃせんわ。お前の見間違えじゃないのか?」
「父さんだって今おかしなことなってたじゃないか。やっぱりこの部屋おかしいよ。業者に問い合わせようよ。」
「だが今からは無理だぞ。深夜の3時過ぎだからな。明日の朝一に電話しよう。さぁ、今日はもう寝るぞ。」
それだけ言うと父さんは布団に潜ってしまった。
僕はもう気になって朝まで一睡もできなかった。
父さんは結局朝まで寝ていた。
図太い神経といったらいいのか何なのか…。
朝9時過ぎになるまでジッと我慢していたのだが、ついつい目がいってしまう為、営業時間を待ってすぐに電話をかけた。
相手は担当の部署に電話を転送させてくれたのだが、担当者は不在でおらず…という事で、代わりの人が電話に出た。どうやら上司のようだ。
僕はすぐに昨夜起きたことを話しもっと前からあったことも話した。
そこで単刀直入に聞いた。
「この部屋は事故物件ですか?」と。
相手方はしばらく無音だったのだが、ポツリポツリと話し始めた。
僕はそれをICレコーダーに録音しておいた。これはあらかじめ買っておいたものだ。
もしもの時の証拠となるから。
話している時にラップ音が入ってきた。
霊の出た時に起きる現象だ。
問いただすとここだけの話という事で教えてくれた。やっぱりここは出る場所らしい。
2度事故物件となったようだ。
1度目は喧嘩から事件へ。
2度目は自殺。
じゃあ、その間借りした人はどうなったのか?と聞くと、ピンピンしてるが、雰囲気は変わってしまったらしい。
そりゃ2度もあった場所ならなおさらだ。
僕は父さんと一緒に解約の手続きをする事にした。
父さんも不安になったからだ。
当然といえば当然だろう。
そんな曰く付きの場所借りる方が勇気がいる。
結局平均のところを探して借りることができた。
その後怖い思いもしてないから安心だ。
僕は今日も2人だ…。




