オープニング
ふとノスタルジーに誘われて書いてみました。
「オサ、行くぞ」
「う~い」
相棒というか、パートナーというか、平たく言うと友人の言葉に俺は軽く手を挙げ、椅子から立ち上がった。
現在、俺たちがいるのは、牛沼市にある私立高校の教室の一つ、正確にいえば、社会科資料室だ。
俺たちが所属する文芸部に正式な部室などないから、顧問の管轄化にある特別教室が拠点になっている。
「で、ケイスケ、どこに行くんだ?」
教室を出た後、俺はおもむろに問いかけた。
「青雅先生のとこ」
「ふ~ん、やっぱ仕事か」
ため息をつく、今は夏休み明けの9月、暑いのにかったるい、最近、とはいえ、俺が生まれた頃くらいから、10月までは夏だ。
「ボヤくなよ、正義の為だろ」
茶化すかかのようなケイスケの言葉に俺は気もなく、頷いた。
確かにその通りだ、知らなければ、良かったのだが。
「やあ、お疲れさん」
「どうも、お疲れ様です」
出迎えくれた30代の男性に礼をいって、俺とケイスケは家にお邪魔する。
端正な顔立ちの青雅先生は、先生とはいっても教師ではなく、いわゆる画家である。
写実の画家で、まるで写真のような絵を描かれる。
芸術とは縁遠い俺とは普段なら無縁の存在だ。
だが、この先生、空手家という面を持ち合わせており、身体を動かすことを得意とするケイスケと気があったりする。
「全員、来てるんですかね?」
ケイスケが部屋に入ると、先生に尋ねかけた。
「いや、今回は3人で事に当たる予定だ」
「そうですか」
俺が相槌を打って、部屋にある椅子に腰をかける
「じゃあ、話を始めようか」
ケイスケも部屋にある椅子に腰をかけると、先生はおもむろに口を開いた。
「退魔会議を、ね」