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S女


 もう、ギンギン。

 夜行さんが。

 ひとつ眼を充血させて、鼻の穴を広げていた。

 そして何と、鬼塚少年も整った顔を興奮させていたのだ。


 戻って、白いリング。

 うつぶせに倒れ込んでいる妙子のかたわらから、墨江が身を起こして横座りになるなりに、手招きをして少女座敷童を呼んだ。駆け寄ってきて、マットに伏せたままの女の状態を診てゆく。やがて反応の無いのを確認したのちに、解説席へと腕を大きく交差させた。妙子は完全なまでに、意識を遥か彼方へと飛ばしていたのだ。

 妙子選手、戦闘不能。

 大会優勝者、九州地方代表・墨江選手。

 少女座敷童が女の手首を掴んで、背伸びしながらその拳を高く掲げて、元気溌剌と声を放っていく。

『優勝おめでとうございます、墨江選手っ!! 貴女こそ今大会の、強くて美しい女妖怪です!!』

 そんな少女の歓喜溢れる言葉に、美しき佐賀の黒怪猫が芯から嬉しい笑みを返していく。この顔を見た少女座敷童が、頬を赤くして俯いた。墨江の怒りは、もう完全に抜け出ていたようだ。墨江は顔に幾つもの痣を作って口からも鼻からも血を流しているにもかかわらず、その端正な美貌は崩れていなかった。全てが終わったのを実感した墨江は、充たされていた。そして、リングから下りる女を、観客席から色んな感情を取り巻いていく。妙子のやり過ぎに、悦びを覚えた女妖怪達。墨江の手加減無しの戦闘に、ビンタに、悦び歓喜させている女妖怪達。つまりは、この女妖怪二人のSっぷりに大興奮していたのだ。


 控え室。

 疲れを隠した墨江が戻ってきたら、他の選手たちが驚き引いていた。しかし、医務室から戻った氷奈は女と目を合わせた途端に、大きな瞳から滴を溢れさせてゆき、その胸元へと飛び込んだ。

「墨江さん墨江さん。ありがとう、ありがとう……!」

 そんな氷柱女の頭を優しく撫でてあげながら、他の女妖怪たちに笑顔を送っていった。


 大会終了後。

 墨江の自宅。

 六畳の居間で、黒いデニムスカートのポケットから、煌びやかな藤紫色の封筒を取り出して封を開けてゆく。あのあとにすぐ、天狐から貰った物。内容に目を通した墨江は少し驚いたが、女は迷わず『やりたい』に印を付けた。

 それは。

『女妖怪世界妖力大会』

 日本代表、化け猫の墨江選手、出場決定。




『ドキッ!女妖怪だらけの妖力大会!』完結。




最後まで、このような一発ネタな書き物を読んでいただきまして、大変ありがとうございます。

もちろん、続編などは考えておりませんので、これを読まれた方々が「その後」を各々なりにご想像されると良いかと思います。


では、また、お会いしましょう。

ありがとうございました。

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