表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/30

ダブル リップ


 千葉県。

 黒髪で色白の美しい女が、賃貸住宅で洗濯物を干していた。突き刺す白い光の暑さ、隆々とうねり上がった純白の雲が蒼空に腰を下ろしている。今日は良く乾きそうだ。女は、腰まである髪を襟足で結んでいた。そんなときに、鉄扉を軽く叩く音が。干し終わって洗濯籠を六畳に置き、扉へ向かい郵便受けから封筒を取り出した。

 白く綺麗な指で宛名をなぞって確かめて、居間のお膳で内容を読んでゆく。開けられたその封筒は、煌めく桜色。すると、麗しい唇が歪んだ。微笑んだのだろう。『やりたい』に印を付けたのちに、鼻歌を奏でながら次の仕事へと取りかかっていく。

 関東代表、二口女・桔梗ききょう様出場決定。


 岐阜県岐阜市。

 赤い屋根の自宅に着いた女は、黒いワゴン車から降りて後部扉を開けるなりに、後部座席の猿ぐつわを噛ませて寝かせていた女子中学生の腹を拳槌で殴って“おとなしく”させると、首根っこを捕まえて車から引きずり出した。玄関の硝子扉を開けたときに、赤い郵便受けから、桜色の封筒が目に飛び込んできた。これをついでにと取り出して、女子中学生を肩に担いだまま入っていく。

 六畳の居間に少女を投げ置いた女は、お膳に胡座あぐらをかいて郵便物を確かめた。それは、煌めく桜色。すると、切れ長の瞳が歪んだ。笑ったのであろうか。女は完全マスクをしていたせいか、表情が伺いつらい。赤茶けたハーフコートを脱ぎ捨てて、黒いハイネックシャツにジーパン姿になったその横で、もがく少女の立てる音が五月蝿かったらしく、足を延ばして後頭部を蹴飛ばした。直後、女子中学生が気絶。封を切って中身に執拗に目を通していったのちに、再び瞳が歪んだ。やはりこの女、笑ったのか。そうして、『やりたい』に印を付けた。

 中部地方代表、口裂け女・妙子様出場決定。



 北海道地方代表。雪女・雪奈様。氷柱女・氷奈様。

 東北地方代表。ろくろっ首・早苗様、美香様、朋江様。

 関東地方代表。二口女・桔梗様。

 中部地方代表。口裂け女・妙子様。

 近畿地方代表。猫股・白祢様、雉子様。

 中国地方代表。河童・雫様。

 四国地方代表。針女・葛様。

 九州地方代表。化け猫・墨江様。

 以上、八組。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ