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ヘルキャット 2


 それからさらに肘を二発打ち込んだのちに、妙子はコーナーポストによじ登り、腹をおさえて悶えている墨江に背を向け立ち上がった。その頂から跳躍して反転して両膝を落としていった途端に、墨江が横へと転げたために、とっさに片膝を突いた。逃げるところを捕まえて首を絞めにかかった矢先に、墨江から両手首を親指から力強く押されてゆきながら背中を当てられて、襟を掴まれた途端に引き寄せられて、顔面ド真ん中に拳を三発浴びせられて突き放されたそのすぐに、今度は、肩と股の間へと腕が滑り込んでいき、妙子の躰は持ち上げられて天地が逆転した。墨江はこの体勢のまま、リングを力強く蹴って走り出してゆく。そして、コーナーポストへと、全体重を乗せて、妙子の背中を叩き付けた。脊髄が軋む音を立てて、内臓が圧迫されていく。そうして、ここにきて初めて、妙子が喉の奥から胃液を吐き出した。しかし、墨江はこれでは済ますわけがなく、再び妙子を持ち上げて、今度は対角線上のコーナーポストへとめがけて全力疾走。打撃と衝撃とにリングが揺れ動いたと同時に、再び妙子は胃液を逆流させた。そこから離れた墨江が、次は女の躰を肩に担いだのちに、

渾身の力で白いマットへと叩きつけたのだ。妙子は受け身をとることを許されずに、背中全体から脳天へと突き抜けてゆく雷を感じながら、腕に小さな痙攣を発生させた。さらに墨江が、口裂け女の髪の毛を掴んで強引に起立をさせてから、顔に拳を喰らわせた。直後、妙子からの拳を頬に受けてしまい、口の中を切ってその端から赤い線を引いていく。

 睨み返して拳を頬に一撃。

 再び妙子からお返しの拳。

 髪の毛を放して、横っ面に拳。

 また再び妙子からお返しの拳。

 睨みつけて殴り返す。

 みたび妙子の反撃の拳。

 歯を食いしばってビンタに変更。

 反撃など与えない往復ビンタ。

 右側から振り下ろすビンタ。

 左側からも振り下ろすビンタ。

 お返しなどさせないビンタ。

 水銀の鞭のごときビンタ。

 顔半分をも覆うビンタ。

 掌打でなくビンタ。

 まだまだ、ビンタ。

 最後は肘を鼻柱に叩き込んだ。

 それでもなお踏ん張っている妙子をめがけて蹴りを放つも、脚を捕まえられた途端に振り回されてゆき、ロープへと投げ飛ばされた。そして躰が跳ね返った瞬間に、妙子の両足が視界に飛んできた。




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