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岐阜アップ


『さあ、続く準決勝第二回戦!―――中部地方代表、口裂け女の妙子選手!』

 岐阜県のやり過ぎ女王。

 マスク美人で、赤茶けたコート一直線。

『そして、北海道地方代表!―――雪女の雪奈選手、氷柱女の氷奈選手!』

 続いては、北の妖怪。先ほどは、二対三のゴチャゴチャした試合を繰り広げたけっか、殺人的なバレーボールで締めくくった。

「雪ちゃん雪ちゃん。今度こそ、ほどほどにな」

「んだな。今度こそ、ほどほどだで」

 可愛い相方の声援に、雪奈が意気揚々と肩を回しながらリングに立った。に、対して、岐阜県の有名人は黙って睨んでいる。

 そして、双方が白い大舞台を蹴ったそのときに、わずかに速くナイフを抜き出した横一線になぎ払った瞬間に踏みとどまり、危うく紙一重にて後ろへ飛び跳ねた雪奈が着地して、白い波を撃ち出した。妙子は女の術を片腕で庇い、刃物を腰にそえた姿勢のまま体当たり。雪奈の腹に刺し込んだナイフを捻り上げて、腕を首に巻き付けて抱き寄せると、更に刃物を引き上げて内臓を切り裂いてゆく。唇の端から青紫の血を流しながら、雪奈が相手の肩に手をやり、離脱しようとする。そんなことなど構わずに、妙子は愛用のナイフを引き抜いたのちに、顔面に拳を一発お見舞い。仰向けに倒れこんだ雪奈へと馬乗りになるなりに、己のマスクを外してゆく。

 さらには、顔の左右を殴りつけて髪の毛を掴み、リングに後頭部を数回叩きつけたあとに、瞳孔を小さくして雪奈を見下げた。直後、唇の端から耳元まで達している傷が“ゆっくり”と避けて開いていき、その口内には、人間的に並ぶ前例の歯の後ろには、上下肉壁から鋭く伸びて生えている犬歯が数十本もあった。そして、妙子は何のためらいもなくそれらの歯を、雪奈の頭を押さえつけながら頸動脈から肩にへと噛みついた。そうして、力いっぱい込めて咬み締められてゆくごとに、苦痛に目を剥き、ついには喉の奥から青紫の鮮血を吐き出してしまう。やがて、妙子の歯と歯が咬み合わさったときには、白い肌の肉を喰い千切ったのだ。そして、それをリングに吐き捨てる。その切り口からは、青紫の体液を噴き上げてゆく。




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