表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/30

控え室だで。


『天狐さんは、今の試合をどう見られます』

 脱衣婆ァが話題を振ると、呆気に取られてた妖狐一族の長が、我に帰って驚いた。

『いや、その……。墨江選手が、余りにも強いとしか云いようがありません』

 実に正直。

 瞳ギョロつかせながら、葬頭河婆ァは楽しそうな笑みで割り込んだ。

『だつえ。これら逆に面白くなったんでねぇか? でも、猫耳見れて良かったじゃんよ』

『ひひ……。有難うよ』


 一方の控え室。

 墨江が戻ってきた後ろの方で、気絶した白祢と雉子が担架で運ばれてゆく姿を入口から目撃してしまった。ねねこ河童のしずくが、引き吊った笑顔で墨江へと労った。

「よ、よう。お疲れさん」

「あら。有難う」

 黒衣の女が優しい笑みを送ったときに、それを見た雫は照れて顔を逸らしたのちに、再び顔を見て話しかけてゆく。

「アンタ強かのぉ。無傷じゃな」

「んふふ。でも次は、そう行かなかったりしてね」

 そう墨江が微笑んで返した側で、蒼い着物へと着替え終わった二口女の桔梗が、薄笑い浮かべて割り込んで来たのである。

「墨江さん。貴女の綺麗な躰に傷を付けるのは、わ た し」

「ほう……。おんしゃ、大した自信じゃの」

「私は、貴女じゃなくて墨江さんに話しているのよ。割り込まないでくれる?」

「だったら、勝ち上がってんねさ」

「そうや……。相手と初めて向き合ったとき、云う言葉じゃき」

 四国の針女、つづらが墨江の後から静かに割り込んできた瞬間、たちまち空気が固まってしまった。そうとは知らずに、OL三人組……ろくろっ首の三人組が、トイレから涼しげな顔付きで戻ってくる。

「いやあー。スッキリだで」

 美香が満足した笑顔で呟いた。一重瞼の早苗も後に続く。

「地獄さ云うてもよ、綺麗なかわやだったなー。―――おや? 空気がまた固まってねぇだか」

 只ならぬ緊張感に気付き、東北三人組が見渡していく。これに雪奈は、困り顔で後ろ頭を掻いた。


『それでは、第二回戦の選手達の入場です!』

 そうしてリング中央では、少女座敷童が、元気いっぱいに次の選手を発表し始めてゆく。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ