マオ チャオ
阿呆な題名で、すみません。
水着での騎馬戦は出てきませんが、我が娘たちをよろしくお願い致します。
黒い衣装に身を包んだ長身の女が、ブリキ階段を登ってゆく。賃貸住宅の己の部屋の鉄扉まできたときに、赤い郵便受けに気付いた。上品に煌めく桜色の封筒が差し込まれている。白く細い指で取り出して宛名を確認した瞬間、整った顔を笑みに変えて封筒を握り潰していまった。急いで中に入り扉に錠をかけて、六畳の居間で横座りになって、お膳の上に潰した封筒を丁寧に広げ直すと封を切ってその中身を確認してゆく。以下、内容は。
「化け猫様へ。
本年度『全日本女妖怪妖力選手権大会』への出場が決定致しました。
貴女は、数多くの化け猫達の中から厳しい審査の下により選ばれ、晴れて今大会にめでたく九州代表として出場できます。
尚、今大会も同じく都道府県の八地方からの八組各代表の女妖怪達と競技を行いますので、優勝を目指して頑張って頂きたいと思います。
但し、貴女の都合による出場拒否権も、本大会でも認められております。
やりたい or やらない 」
といった物だった。
よって、この化け猫の女は当然のごとく。
―『やりたい』。―
九州代表、化け猫・墨江様出場決定。
所変わって、北海道。
「雪ちゃん雪ちゃん。桜色の封筒が届いたでよ!」
「ほっ、本当だべか! おれら、北海道代表だか?」
「焦んな焦んな。中さ見てみるべ」
「きっ、緊張すっなぁー」
白い着物に身を包んだ二人の女が、寄り添って息を呑みつつ手紙を広げて読んでいく。数分間の沈黙のあと、共に輝かしい笑顔になって喜んだ。
「おれらの力が、認められたんだっぺ」
「んだ。頑張るべか!」
北海道代表、雪女・雪奈様と氷柱女・氷奈様出場決定。
そして中国地方の、ある湖。
「うおぉい! 雫! 桜色の封筒が届いたぞー!」
そう名を呼ばれた女は、勢いよく湖から飛沫を散らして跳びだして、我が家へと走った。頭に皿を持ち、蓬色の躰をした女。
「親父、見せてくれや!!」
「おお、そん前に躰拭けや」
雫が濡れた躰を拭いながら、父親から受け取りながら手拭いを肩にかけて封を切った。そして、中を確認。すると、歯を剥き出しだ笑顔になり、父親へと溢れんばかりの自信を向けた。
「親父。儂が一族代表して、河童のオトロシさ|(恐ろしさ)ば連中に教えちゃるけんの!!」
「おお! 思い知らせてこい!」
「任せろや!」
中国地方代表、ねね子河童・雫様出場決定。