わたしを許さないで
「もう別れよう」
わたしは彼に本音を告げた。
「どうしていきなり?俺なんか理央に悪いことした?」
「悪いことというか、私とは合わないの」
秀明は不思議な顔して言った。
「今までそんな素振り俺に見せたことある?ないよね?なのに、どうして……」
わたしは目を伏せ秀明を見た。
「正直に言うと、他に好きな人ができたの。もう、秀明とは付き合えない。ごめんね」
わたしは秀明を背にその場を立ち去る。
後ろら秀明が叫んでくる。
「最低だろ!俺にチャンスはねえのかよ!」
「ないね!」
わたしは振り返りそう叫ぶと秀明は泣いていた。
わたしは慌てて前を向く。
必死に涙を堪えながら。
本当に秀明に愛想がつきた?
そんな訳がない。
他の男が好き?
そんな訳がない。
秀明のことは、ずっと大好きだった。
もちろん、今でも好き。
秀明は今大学3年。
皇室関係の仕事に就きたいと応募している。
そしてわたしは知っている。
国関係の仕事に就職するときは、その人の家族や交友関係まで調べられるということを。
わたしは孤児だ。
一度施設に預けられ、それを可哀そうに思った実の祖母が私を正式に実の娘として籍に入れた。
そんなことが可能な世の中なんだ。
周りからは親に会わなければ、そんな違和感は持たれず暮らすことができる。
でも、調べられるとなると話は別。
わたしがこの世界で一番大好きな人の重荷になるなんてありえない。
でも、彼はそんなことを打ち明けてもきっとわたしのことは関係ないというだろう。
それぐらい優しい人。
だからだ、だから彼にわたしのことを徹底的に嫌って更なる未来へ進んでほしい。
わたしは英明を嫌いになれるわけがないのだから。
そんなことは無理なのだから。
だから、お願い。
秀明、わたしを許さないで。
孤児だと知っても受け入れてくれたあなたは、都会へ言ってもっと周りに胸を張って紹介できるような女性と幸せになってください。
約束だよ。




