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恋愛マニュアルは役に立たない

作者: 森行人
掲載日:2026/08/21

初めての作品です。習作ですのでばんばん評価していただきたいです。


「おはよう、佐藤さん!」




「おはよう!神崎くん!」




神崎は心のなかでガッツポーズをした。




−−−第一関門、突破!




昨夜徹夜してマニュアルを叩き込んだ成果である。




(思い出せ、マニュアルたちを)




『恋愛マニュアル第一章−−朝の挨拶は爽やかな笑顔でべし。』




『恋愛マニュアル第二章−−−相手の目を見て話すべし。』




『恋愛マニュアル第二章第二項−−−ただし、見つめすぎるのは逆効果。長くても5秒にするべし。』




(目を見て話すんだ…それでいて見つめすぎないように…)




神崎はひふみの目を見た。




1秒。




2秒。




3秒。




「…神崎くん?」




「は、はいぃ!」




「なんでずっと見てるの?」




「え、あ、それは…」




−−−第二関門、失敗




(こんなときは…)




『恋愛マニュアル第八章−−−相手に不自然な行動を指摘されたときは…』




(たしか…)




「いや、なんとなく見てただけというか…」




「え?!どういうこと?!」




『慌てて否定せず自然な振る舞うべし。※具体的な解答は状況に応じて考えること。』




(くそ…そこが知りたいのになんで書いてないんだよ!)




「ソノ…あれだ!顔が?見たくなって?みたいな…」




(何言ってんだ俺ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙)




「…え?」




(ほら…引いてるよ。さすがのエグキモ発言に。ひふみさん。)




「イヤ、今のは違…」




そう言い終わる前にひふみは姿を消した。




(終わった…何もかもダメだ…)




***




昼休み




神崎は一人、机に突っ伏していた。




(次だ。次でなんとか挽回を。)




そんな事を考えてると




「神崎くん…あのね…さっきのことなんだけど」




(まずい、こっちから声をかけて挽回するつもりだったのに)




「いきなり逃げてごめんね。その…私ちょっとだけ…」




(やっぱりキモかったか…こんなときはどうすれば…)




「そ、そうだよね。いきなり顔見たくなったなんてエグキモのキモだったよね。その…ごめん。」




『恋愛マニュアル第十章−−−相手に嫌がられたときはまずは相手の気持ちを肯定。そのうえで謝るべし。』




「いや、そういうことじゃなくて…」




(エグキモのさらに上…一体どんな言葉が…)




「私、ちょっとだけ嬉しかったの。普段そんな素直に言われることあんまなかったし。その…だから…」




(へ?うれしかった?あれ?こういうときはたしか…)




『恋愛マニュアル第二十章−−−相手に嬉しかったと言われたら…』




「あー!だめ!言えなーい!」




またしても逃げていったひふみ。しかし、神崎の頭の中はそれどころではなかった。




『嬉しかったと言われたら、脈ありかも!』




(いや、そんなわけ…あれ?)




***




6限目も終わり帰りのホームルーム。




神崎は考えていた。




(脈あり…そんなわけ…でも、もしそうなら…)




起立。気おつけ。さようなら。




さようなら!




(やべ、いつの間にか終わってた。帰らな…)




「さてと、私も帰るとするか…」




(待てよ。今は帰りに誘うチャンスなのでは?!えっと、マニュアルは…)




『第百章−−−帰りに誘うには…』




(いや)




「まって、佐藤さん。」




「どうしたの?」




「今日…一緒に帰らない?」




(何を聞いてんだ俺ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙。これじゃ朝の二の舞…)




「うん!いいよ!」




「え?本当に?」




「本当の本当だよ!さ、一緒に帰ろ!」




***




「……朝からずっと変なことしてたよね、俺」




「うん。すごく変だった」




「やっぱり……」




「でも、楽しかったよ」




「……え?」




「神崎くんと話すの」




(え?それって…)




***




『恋愛マニュアル第百一章――好きな人との距離を縮めるには……』




神崎は本を閉じた。




(……今日は、こいつに書いてあることより、自分で考えたほうがうまくいったな)




そう思った。




……けれど。




「まあ、明日のために一応読んどくか」




神崎は再びページを開いた。

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