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#7
司を通して、自分を客観的に見ることができた。
相手のセックスの上手い下手は大きいかもしれない。こちらが頑張る必要がないからだ。裸になることで第一の皮が剥けるし、視られることで第二の皮が剥ける。愛撫は心のピーラー……でも最終的に残った果実が甘いか苦いか、それは分からない。
この身体だって既に汚れている。なのに、それを司は綺麗と言う。主観と客観は温度が違い過ぎて、もう何が正しいのか分からない。
部屋の照明は明るい。だが窓の外は真っ暗だ。ここは何かに監視された街────あの闇の先で、誰かが自分達を見張っているかもしれない。
「由貴君、何考えてる?」
「……何でしょ。俺もよく分かりません」
ふざけてるわけじゃない。本当に分からない。頭と心は常に乖離している。あらぬ被害妄想を頭の中で繰り広げながら、心の中では司にどう扱われたいか考えている。不安と快楽を同時進行で行っている。
これは自慰だ。
「もし願いがひとつ叶うなら……俺……司さんの子どもとして生まれたかったかも」
「あぁ。そしたら可愛がり過ぎて大変だ」
「へへ。でも、誰だとしても可愛がるでしょ。司さんは誰にでも優しいから」




