苦労して取った蜘蛛の味は苦味とエビ
9話
『蜘蛛煮て食う大作戦』を経て、1時間――
岩に括り付けた縄を解き、水につけてた蜘蛛達を取り出す。
袋の中身を見れば、もう完全に死んでるのか触ってもビクともしない。
火の元まで引きずり、やっとまともな食が食える事に感極まって涎が出てくる。
「3匹か……この1匹はこのまま火で焼くか。 もう2匹は――」
あの『仮漁網』で使った皮、これを使おうと固く結んだ縄と、端に結んでた石を取る。
残ったのは、蛇の皮――この皮でと、カゴの様な形を作る。
(出来た、後はこれを……)
水場にいき、蛇の皮のカゴを水に浸してすくい上げれば、バケツ並に水が溜まった。
「水が多いから焦げるだけで済むだろう。よし、後はこいつの中に蜘蛛入れて」
と、中に二匹蜘蛛を入れた。
後は蓋をする様に、持ち手の部分を結べば――
蜘蛛と水が満たされた『簡易鍋袋』が完成した。
「よしっ、後はこの二匹を火の中入れて……あっ、そうだ」
この鍋袋に入れれば、この赤い実も食べれるのではと好奇心で実を取る。
手のひらいっぱいの赤い実を、火を入れる前の袋鍋の中に入れる。
「一緒に毒が分解されたら食べれるんだから。まぁ、もしまた毒に当たったらその時は……うん」
内心は毒蜘蛛系になると長めの加熱をすれば食べれるようになる事は知っているからだ。
そんな時、安心感によるものなのか少しだけ眠気が襲いかかる。
(流石に、こんな場所で寝るのはやめとこう。 もし何か来た時の為に逃げる準備だけでもしておこう)
と、草の火のせいか燃える速さが早い為、火が消えない様に、集めて来た草を放り投げる。
△▼△▼
「 うぅ……やっぱ、ちょっと濡れてるな……」
自分のゲロのせいで濡れたズボンとシャツはロープを突っ張り棒みたいにし。
火のお陰である程度乾いたが。
そんなこんなである程度ないい時間が経ち、そろそろいいかなと一旦火を消す。
「木の棒とか、つつくのないから一旦火消さないといけないのがいたいなぁ……」
まぁ、すぐに食べたらここから離れようとは思っていたから。
と、火をすぐ横にある水場からちょっとづつ手ですくって消す。
大量の焼けた草の中から、少し焦げた蛇の皮と丸焦げの蜘蛛二匹を取り出す。
「……初の、まともな食。―まず丸焦げの方から」
蜘蛛の足の部分を取ると、何か干し肉みたいな見た目でちょっと食が失せる。
固唾を飲んで、食べるのを迷う。
それでも、これ以外食べれる物ないんだと言い聞かせて一口とだけ頂く。
「いた…だきます。………んんっ、まぁ――うん。 食べれない訳じゃないな 」
なんともいえない味、エビの様な味もするが苦味が強くてもういいやとなる。
流石に勿体ないから今後の為にと保存食に取っとくことにした。
「お次はこれか……大丈夫だよな……」
出し汁は捨てて、煮込まれた蜘蛛二匹と多くの煮込まれた赤黒い実を取り出す。
先程より、カニの様な香りにお腹が鳴る。
また、同じ様に蜘蛛の足を取り一口、と食べる。
「……まぁ、美味いわ。 柔らかいから食べやすいし、普通に苦味が少ない」
味はカニとエビの味、味付け無しのこれは美味しくて食が進む。
そして、因縁の赤い実を一粒手に取る。
(……煮込んで毒素が落ちたと願いたいけど)
ブヨブヨしたこの感触に捨てるかと考えたが、勿体ないの精神のせいで、一口口に含むが――
「ッッ……おやっ? 美味しい、普通に。 なんだか味マンゴーみたいな感じで」
パクパクと食が進み、やっとの事で腹を満たせた事に、ちょっと泣きそうになった。




