幻覚のステータス画面
5話
どのくらい時間が経ったのか。
体内の時間感覚が狂ったせいで、今が夜なのかそれとも朝なのか分からない。
ただ、次に起きた時は毒でぶっ倒れた場所。
「ははっ 死ぬかと思った――」
体を起こすと、ガタが来たように力が入らない。
原因の実の草むらは、自分の嘔吐物まみれ。
そこで寝そべっていたから、髪と服は凄いことになっている。
「いやぁ……」
横にある湧水まで、ガタのくる体を起こして、水の溜まり場で軽く頭を洗うと、
(なんでパイナップル臭いだ?とゆうか、―ゲロの臭いだけで、気持ち悪い)
シャツの臭いを嗅ぐと頭がクラクラと酔った感覚がする。
流石にシャツとズボンも脱いで洗わないとやばいと、さっさとシャツとズボンを脱いで水に浸す。
水で軽くゴシゴシ洗いをして、あのゲロの臭いを落とす。
「にしても、死ぬ所だった……。 空腹の時は、頭が働かないとか言うけどここまで酷いのか 」
普通は警戒する正体不明の赤い実は、自分の体を張った実験によりお陰で毒だと分かった。
途中、幻覚の様な物が見えたから、本当に危ない食べ物なのだろう。
「にしても、あんな無花果みたいな見た目してやばい食べ物とか、警戒しなかった僕が悪いんだけどさ、」
他に食べる物が無かったのだ。
生きてただけで良かったとキイシは思う。
それにしても、先程の幻覚作用で見えた物。
「幻覚作用て、だいたい視界が波打つとかだと思ったけど」
何となくサッと手を払うと、大きな画面が現れてた。
『ようこそ、○○○○様』
自分の名前が画面に写っているが、まだ幻覚作用が体に残っているのか?
(体から出すのが一番だけど、それには時間がかかるし……)
このガタつく体では、ウロチョロしていても何時かは体力が尽きる。
服が乾き、ある程度休息を取ってからでもいいかと、思うと目の前に映る画面に触れていた。
指に当たる感覚が、スマホを触っている時と同じ様でよく出来た幻覚だと鼻で笑ってしまう。
これがもし本物だったら――
と思うと、ここを脱出する事も容易なのにと疎んでしまうが。
ピカッと一瞬光った後に出てきた画面には、数字の配列。
『本名○○○○様 ツルギヤキイシ様
Lv1 ――HP /49 ―― MP/100 ――STR(攻撃力)/10―― VIT(防御力)/32 ―― AGI(敏捷)/26―― DEX (器用さ)/123――NT(知性) /… 』
ゲームのよくあるステータス画面、まるでゲームを始めるあのワクワク感を思い出す――にしても。
「アハッ、雑魚過ぎでしょ、僕のステータス。 こんなんじゃ、無能扱いも分かんかも」
笑えてくる自分の幻覚ステータス画面。
何もないこの場所では、服を乾かすその間やる事がないのだ。
幻覚が治るまでの間は、これで遊んでおこうと色々いじくる。




