自己中の召喚王
2話
後ろを振り返ると――
黒い布を被った人達がいつの間にか石造りの広い儀式場に集まっていた。
そんな大人達に警戒して見ていると、じっくりと見定める様に上から下へと目線を下げる黒布達。
ジロジロ見られて、こっちの気分が悪くなる。
少しの無言の後低い声で独り言のようにつぶやく声が聞こえた。
『……。 まさか、このタイミングで召喚されるなど……』
そう誰かが言うと、黒布集団の一人がフッと霧のように消えた。
キイシは目を見開くと――
いつの間にか後ろから、現れた黒布の男。
「は――」
『召喚者は暴れることが多い、暫く縛られてもらう。』
黒布の男がそういい、手を捻るといつの間にかガッチリと縄が結ばれた。
「!? なんだ」
『拘束魔法だよ……と言っても異世界人にわかる訳ないか。』
――魔法って……。
何を言っているんだと困惑していると、さっきフッと消えた黒布の男が現れた。
ただ、さっきと違うのは横に丸々と豚の様に太った男が現れた事だ。
眉を顰めて男を見ると、酷いぐらい両手の指に隙間なく宝石の指輪を身につけ。
王様の様なマントと、豪華な王冠を被る男が目の前に立って見下ろしていた。
「フンッ、女と思って期待したが男か…… それも、なんだその髪は。 儂より老けているようで醜いぞっ」
近づきたく無さそうに手を払う男。
明らかに見た目が王様のように見えるが、あの言いようだと、国民が苦労するタイプだろう。
先程の悪口の数々を無視して、率直に男へ質問する。
「あの、ここはどこなのでしょう? 僕、帰れるのでしたら帰りたいのですが……」
涼しい顔でそう答えたのだが、――無礼者!! と怒鳴られた。
『この方は、ここ王都ダエルを統べる王。 グリフィット様だぞ! 頭を下げよ! 』
「え……」
後ろにいた男が無理やり下げられる。
頭は水に浸かってて呼吸しずらい。
何故こんな状況なのかと、そう困惑する。
「あ〜、で此奴はこれからどうするんだ? 」
『魔王と戦う使命を持つ物達の儀式場なのですから、魔王討伐を要請するのでは? 』
「えー……! 儂、召喚もしてないのに? 」
コソコソと会話をする黒布の男と王様?の会話が丸聞こえで聞こえてくる。
キイシ自身は帰らせてほしいと心から思った。
(まぁ、帰っても死ぬだけだけど……)
内心で笑っていると、こちらを見る王様と男。
『あ〜、ですが此奴の適正能力は見ましょう。 話はそれからです』
「フムッ……まぁ、それもそうだな。 もしかしたら使えるかもしれぬしのぉ……」
顎髭触りながら何かを企んでいるような顔でキイシを見る。
そして、すぐ横にいた黒布の一人に顎を軽く突き出す。
黒布の男は懐からナイフを取り出すと、自分の指先にナイフを刺す。
タラリと流れる血を横に、しゃがんで水につける。
(何をやっているんだ? ……血を水に……消毒? の割には行動の意味が……)
押さえつけられたままのキイシは、血が水中を濃ゆく漂う姿を見て、奇妙だと感じた。
その光景を黙って見ていると。
また黒布が現れて銀の装飾された鏡を持ち出し――
それを、水に沈め、すくい上げる。
『これは……! 』
「うん? どれどれ…」
抑えられた頭を離され、頭をあげる。
マジマジと鏡を見る黒布の男と王様をただ黙って見ていた。
少しの沈黙のあとに放たれた言葉は――
「チッ……! お主ら、此奴を今すぐ、死者の穴に落としてこい! 」
指を突き刺して黒布達に命令を出した王様。
「……はっ?」
とんでもない事を言う彼に、呆気にとられていると――
いつの間にか後ろにいた黒布達が目と口を布で塞ぎ始める。
抵抗するも虚しくガッチリと縛られた縄のせいで、身体は四方八方に動かす以外為す術はなく。
持ち上げられ運ばれる。




