出口
19話
「はぁ……よし。 やるぞ、」
体をぐっと背を伸ばし、空気の流れと火の風向きを見る。
歩いた先に二手に分かれた道があり、そこの上にあるトーチを見る。
「左の方が、火が強いな……」
左の方へ足を進めたその時――
その光景を見て、大きく目を見開く。
鼻から伝わる腐敗した匂いで鳥肌が立つ。
今目の前にある光景には、
白骨した死体が床に転がっている。
古びた服装からして、それが女性だとわかった。
壁に寄っかかっているのは男性で、その肩に寄っかかっている物は女性。
近づいて見ると、男の懐には剣がある。
「迷って餓死したって感じか……」
その証拠に、カバンの中を見れば――
何もかも空っぽ。
白骨死体を近くで見ることなんてなくて、マジマジと見てると、男の指の骨が砕かれている。
「複雑骨折という割には砕かれ過ぎてるし……他にあるとすれば――――」
食料が尽きて起こった、決死の覚悟……だろうか。
グロくて眉を顰めながらも、彼らに少し同情する。
ネズミの罠にかかった人の末路とは、こうも悲惨な物なのかと……。
誰かも知らない人に膝を着いて、心からの追悼する。
△▼△▼
「よし、行くか。」
12と書いてから立ち上がる。
早く脱出しようと、白骨遺体を後に一本道を歩き出す。
――13で正面を進み14で立ち止まり、水の音を確かめる為壁に耳をくっつける。
「近い……」
15で右を進み9へと戻ってきた。
9の道は、左右に別れた道。
壁に飾られたトーチを見れば、右のトーチがよく燃えてる。
「こんな事にも気づかないなんて……答えがわかると、簡単なものだな」
鼻で笑いながら、右の通路を見て足を運ぶ。
――16、17、18……そして
見覚えのある、道に戻ってきた。
それは、ここで炭を取り1と印したあの場所。
少し歩いた先に、炭で一本の線が床に書かれ。
その横に炭で汚れた床を横目に、さっきと同じ正面に向かう。
歩いた先には、2と書かれた扉と左に繋がる道。
2と書かれた扉の目の前まで来て思った。
「隙間風……なんで気づかなかった……ほんと……」
間抜け過ぎて、自分のことが嫌になりそうだ。
扉の古さなんて、よく見ればわかる位見分けがつく。
失敗したなと反省しながら頭を掻く。
「やっと…………出れる」
扉を奥に押しだして、やっとの想いでレンガの迷路を脱出した。
△▼△▼
螺旋の長い階段を歩き続け、どれだけ経っただろうか。
今でも流れ続ける右手の血は、ジクジクと痛みを増していき苦痛で涙が出そうだ。
「……ほんとに……やばい」
それに、酸欠でクラクラしてきた。
さっき、水を飲んでしまったせいでもう殆ど水は入ってない。
それでも、階段を無理してでも一歩を踏み出す。
(痛い……弱音が出そう……でも、吐き出したらこれ以上……進めなく――)
と、危機を感じながら滲む汗を拭い、また一歩と進む。
そんな時、少しずつだが歩き続けた結果――
出口が見えた。
「はぁ……」
希望が見えて、思わず走り出す。
アドレナリンのお陰でさっきの痛みも感じられない。
一歩と、力強く踏み出すとこれまでとは違う扉が目の前にあった。
鉄でできた、でかい扉。
それをを恐る恐る、両手で押し付ける。
「フンッ……ッ……!!! 」
前へと押し出し、足腰を固定しながら重たい扉を押し出し――
「おりゃあああ!!!」
どうにかして扉を力ずくで開けると、光の隙間が開く。
その大きな扉は、少しずつだが開いていき外の世界の陽をキイシは直で浴びる。
眩しさに右手を目元を隠し、影にする。
目が外の光に慣れてくると、通り過ぎた美しい蝶二匹がクルクルと回りながら、飛んでいく姿。
「はぁ……出れた。 長かった」
一歩、足を踏み出したその瞬間――
体がバタリッと力が抜ける。
(頭がボーとする)
そう思いながら、体一つ動かす事ができなくて地面に広がる自分の血。
それがじわじわと血が抜けていく感覚がして、流石に死を覚悟した。
(二度目の死…………)
襲われる眠気に抗えず、深い眠りを受け入れるのだった。
『毒耐性【大】を獲得。 能力毒放出(微毒)を獲得しました。』




