迷いの林
16話
目の前にある、3つの分かれ道。
(どっちに行けば安全そうか……)
先に罠があると思うと緊張感が増していく。
まだ毒が抜けてなく、頭も余り動かない事に苛立ち、焦る。
そんな状態でも、必死に思考を止めずにいると1つの案が思いつく。
それはまぁ、簡単なもので、そこら辺にあるレンガの破片やら、石ころを拾い。
「それをっ! 投げるっ――」
レンガの破片を左端の道に投げれば、あの暗闇を通り抜ける。
なのに――いつまで経っても音が全く反響してこない。
「あれ……? 」
なぜ、音が聞こえない?
投げたレンガの破片で、―罠があったらなんか手応えあるかも〜。
とか、そんな事しか考えてなかったのに。
もしかしたら偶然ではと、石ころを拾ってまた同じように、同じ道に投げれば――
結果は同じ、音が全く聞こえてこない。
(もしかして……)
石ころを2つ拾い、さっきとは違う真ん中の道と右端の道に石を投げ入れる。
暗闇を通り抜けていく石ころ、耳を澄ませてみてもカランッとか、そんな音も聞こえてこない……。
何故?
そんな疑問で、頭が埋め尽くされる。
何故、音が聞こえないのか?
この暗闇の幕はなんなのか?
なんの為にこの幕があって、ここはなんなのか?
思いつく限りを考えれば……何個かの仮説とその仮説への疑問が生まれる。
仮説A 落とし穴で深すぎる
仮説B 空間転移
仮説C音が遮断される魔法
仮説D ランダム迷宮
それを検証する方法はある。
「……はぁ、どちらにしろ通ってからしか、結論はつかないしなぁ 」
地面を見ていた僕は、正面を向けば3つの分かれ道。
どれを行くか……そう迷って目をふと、閉じた時。
デジャブ……だろうか、ここと同じ事を1回体験した事があった。
それは……どんな時だったか。
ここにはいない鳴く小鳥の幻影音が聞こえた気がした。
あぁ、思い出した……。
僕がまだこっちに来る前の、小さい頃同じ体験をした事があった。
たまたま僕がその道を通って木の影に隠れていた所を見つけれた、が――
同じ道、同じ木……歩けば歩く程方向感覚を失って、今どこにいるのか、ここはどこなのか迷って。
弟は、少しづつ夕日に近づく空を見ては泣いて、僕は隣で大丈夫と言いながらも、泣きそうになってた。
失った方向感覚ではなく、記憶力でどうにか思い出しながら帰り道を通れば……。
3つの林の道があった。
どっちから来たが分からなくなった時。
泣いてた弟、一本の道を指さす。
林道と同じ、今はレンガの道だが。
左、真ん中、右。
思い出した、弟が指した道は、右だった。
(だけど、もしAの仮説だったら……)
迷っている暇がないのはわかっている。
その中でも、右側が安全なのではと壁や、空気の流れで観察した結論。
右側の通路を通る。
分かれ道のない、真っ直ぐな道。
そして、直ぐにさっきの道を後戻りすれば――
「……っ!?」
本来3つの道に戻る筈が、何故か先は真っ直ぐの長い廊下と少し先に右に曲がる角があった。
――これでわかった。
検証により一つの仮説として思いついたのは。
ここは……ランダムで道が作られてるのではないか?だった。




