不利を勝利に
14話
時間が無い
体は少しづつ追い詰められ、呼吸をするだけで肺が詰まっていく。
(考えてる暇なんてないんだ。 今思いつく限りを尽くすっ)
ショルダーに使ってた紐を解いて、一本の縄を強めに伸ばす。
▼△▼△
集団で密集する蛇達は、卵を守る用に丸く縮まる雌。
(よくよく考えたら、ここって巣には絶好の場所だな。 外部からの侵入も無ければ、内部の生物はここの毒で死ぬ……)
ゲーム画面をスライドすれば、ステータス画面から違う画面に変わる
『火を扱いますか? 【YES】 【NO】』
迷わず指を【YES】のボタンに運び押す。
(準備は整った……後は、行動するのみ……)
数多く燃え上がる炎を見て、次の行動へと地面を見る。
足元に石ころが幾つか、そのうちの一つを選んで手に持つ。
手の平サイズの石、それを密集する蛇の一匹をギラリッと目を光らせて投げる。
投げられた石は、スローで落ちていき当たった先は――
グチャッと鳴ってはならない音が響く。
見れば、卵が潰れていた。
喉から、変な声が出る。
(終わった……)
その卵の母親が、その悲惨な卵の姿を見て、泣き叫ぶように甲高い声で鳴く。
(蛇を狙ったつもりなのに、卵に当たるなんて運無さすぎる!!! )
自分を恨みながら、怒った蛇の集団が僕目掛けて来る。
結果的に、卵の元と母蛇達を引き離せてラッキーとは思ってしまうが。
斜面を登ってくる蛇達を横目に、僕は燃え上がる炎まで真っ直ぐ走る。
残る酸素を使って、全力で走ると。
後ろにいた蛇の集団は無数にある炎を見て足を止める。
赤外線の目、これを利用した。
自分の体温で誤魔化せたのはいいものの、まだ扉には近づけない。
なら、と炎の横に隠れてた僕は、距離を取り蛇が認識できる所まで離れる。
蛇の鋭い目は、僕を認識出来たのか獣の叫びをあげて、向かってくる。
(子が殺されて、怒りで前が見えないとは。 この事なんだな……)
数歩下がった所で、蛇が襲いかかってきた――
と思いきや
目の前でバタンッと一匹倒れ、その後ろに着いてきた母蛇の集団もドミノ倒しで倒れていく。
炎のすぐ後ろにあった、中くらいの岩にピンッと縄を真っ直ぐ膝元の高さで張っていた。
絶好のチャンス、それを逃さず走る。
(体温のない物体は見えないとは思ってたけど こんな簡単な罠にかかるなんて)
一匹が罠に掛かれば、その自慢の長い体は絡まり、固く結ばれる。
その隙に、炎の後ろを逆の方向から回れば蛇の追跡を外れた。
だが、そう簡単ではない。
(やっぱり、罠に掛からなかった奴もいるな)
ほんの数匹、罠に掛からず遠くからこちらを見定めていた蛇が、チラホラいた。
そいつらは、僕を見つけてこちらに近づいて来る。
危機、だが
(想定内……ほんっと、腹が立つ殆ど頭がいいな……)
第3の、追跡から逃れる為準備したもの。
ショルダーの中に手をツッコミ小さなミニ水筒袋を出した。
頭のいい蛇の為にもしもの事で準備した物。
このミニ水筒の中身は冷たい水。
それを、炎目掛けて投げる。
飛んで行った水筒は、熱い炎に着地し――
一気に水蒸気へと鎮火された。
視界が真っ白になると、吸い込んだ水蒸気のせいで少しむせる。
煙を払いながら扉まで向かおうとした時、後ろからあの母蛇が潰れる声で鳴く声が聞こえる。
悲しみで泣いてるんだろう。
「悪いね、」
そう思いながらも、僕自身は脱出の為に次の2階層へ行く扉へ向かった。




