蛇の門番
13話
下を見れば、落とし穴のようにさっきまで地面があった場所には空洞しかない。
脳裏に映るのは死
走馬灯を思い出す――なんて事なかった。
(自分のグチャグチャ死体とか! どうやって生き残るしか考えられん……!!)
ヤバいと、体の反射が動きギリギリの所で動き、壁の凹凸に引っ掛けれて。
手を端ギリギリの所で掴めた――
と、思ったのに小石が穴縁にあって右手に刺さって一瞬の隙で離してしまった。
「ツッ―! 」
血で滲む手を舌噛んでどうにか耐えて、縁を掴む。
片足で壁を引っ掛けて、どうにか片手が負傷しながらも全力で這いつくばれてるけど。
蛇は、いきなり消えた自分を探して動き回ってる。
(落ち着け――体温を見失った奴がこんな所まで見える筈無い。 大丈夫)
地面を強く握って爪の下に空気が入る。
痛みで顔が歪む。
そんな事お構い無しに、近くであの蛇の這う音が耳に嫌でも入ってくる。
ズルッズルッ
心臓の音が耳の奥で聞こえて、緊張で脱力しそうだ。
それでも耐えていれば、蛇の音が少しづつ遠くなる音がした。
諦めた音、その安心感で肩に脱力感が出そうだが、まずは穴から抜け出さなければ。
引っ掛けてた足を少しづつ上に動かして、どうにか……脱出出来た。
「あぁ……死ぬかと思った…」
ゼイゼイ酸素を求めて吸い込んだせいで、地面に倒れかけた。
「いてっ……」
持ち直した手に、縁に全力で掴まっていた所の皮膚やら爪やら剥げ血が出てる。
貴重な水を使って消毒する暇なんてないんだ。
地面に倒れた足を起こして、音を立てないように小石を避けながら歩く。
△▼△▼
段々、目眩と吐き気が起こりだした。
胸はムカムカして、視界はボヤボヤ。
少しづつ方向感覚が失われていくせいで、道は間違ってない、とか思わないと立ち止まりそうだ。
何度も胃から逆流して消化液が喉に通る。
また胃に戻って行くのが喉が焼けるようで、痛い。
(限界が近い。こんな所で倒れれば確実に死ぬ――)
何度も身体が倒れかけるのを、足に力を入れて奮い立たせ。
参りそうな精神に何度も大丈夫と言い聞かせながらここの出口まで近づく為に抗い。
滲む汗を拭いながら歩き続け……。
気付けば、ほんの先には出口らしき木材の扉がボヤボヤ見える。
真っ直ぐ歩くだけなのに――
「最後の最後で運が悪い……」
出口の扉の前に、門番のようにパッと認識するだけで無数の蛇が動き回ってた。
(単独行動する蛇が、集団行動をする時なんて繁殖時期か冬眠のどちらか……)
ただ、よく見てみれば殆どの蛇が卵を持ってる。
今目の前に雌しかいないとすれば、確実に繁殖時期。
めちゃくちゃ凶暴な時に、出口まで全力疾走してみても頭から丸呑みされる以外思いつかない。
すぐ近くにあるのに、行けないこのむず痒さ。
(どうしたら……この先を行けるんだ――)
リミット近いこの場所で、頭を使う。




