無味無臭の毒による物
12話
気休め程度だがシャツを捲って口と鼻を覆い被せる。
さっき見えた、泡を吹いて倒れてるネズミの死体に近づく。
見れば見るほど、毒の特徴がよく出ている。
口とよく見たら鼻から泡が出て、見た目で分かるぐらい手足が真っ青。
何より、自分が体を張ってわかったこの気怠さと異常な汗。
(他にも色々あるけど、そんな事を考えてるよりここを脱出しないければ……)
ゲーム画面を開ければ、チカチカと自分の現在地が赤で記されてる。
(現在地は、ここ。 出口まで真っ直ぐ進めば……)
ただ、この空間を如何して思ったのは、この空間でどのくらい毒が充満しているのかだ。
螺旋階段上であんなに体調が悪かったのは空間が狭く尚且つその毒が流れ溜まっていたから。
だが、ここは天井も高く何より空間が広々としている。
どのくらい毒が空気中で漂っているのか分からない。
(無味無臭の毒…さっきの警告は、ある意味自分のタイムリミットは近い事の…… )
戻ればこれから先に進む事なんて不可能。
それと同じぐらい目の前の先の毒がどれくらい充満してるか分からない。
少しの恐怖で、手の震えが出てきた。
(――手が震えて……そろそろ結論出さないとやばい)
心理学ならわかるが毒は専門外過ぎる。
幾ら考えても片隅にいる恐怖のせいで、結論なんて出やしない。
拭った汗を見て、身体が悲鳴をあげているのがわかる。
(それでも、ここにいればいつかは死ぬんだ)
なるべく体内に残る酸素を大切にしながら、少しづつ足を出口に進める。
△▼△▼
シャツを握った手が震え始めて、いよいよやばい事が伺える。
(さっきから汗が止まらない……視界も二重になって見にくい)
それでも、目でわかる範囲の物体の大きさ、形、高さ、幅。
それだけを見ながら頭に入れた地図を思い返して歩く。
重い足を一歩踏み出したその時――
ふにゃっと柔らかい感触がした。
下を見れば、太い縄だと分かるがどんな縄なのかわからない。
目線を上にあげてみれば、岩だと思っていた物がどんどん大きくなってる気がする。
「アァ〜、こりゃヤベッ」
形からして……蛇、それも僕より幾分でかい。
知ってる知識として少しづつ距離をおいたが――
全然、こちらを認識している蛇に―無理だと諦めて、走った。
(酸素大事にしようとした瞬間これだよっ、、! )
後ろから擦る音が聞こえてきて、どう見ても僕を追ってきている。
後ろを振り返らないよう、ただ真っ直ぐ走っていたら、目線がグラリッと歪んだ。
下を見れば、さっきまであった足場が崩れて――




