『ツルギヤキイシ』
1話
スマホを触っていると、下の階からチャイムが聞こえた。
お届け物かと思った僕は、下の階に降りる。
玄関のドアを開けるとフードを深く被った男がたっていた。
その顔は妙にに笑っていた。
「こんにちは。貴方『ツルギヤキイシ』で間違いない?」
「はっ? 」
そういった男の懐からギラリッとナイフを向けてきた。
それに気づいて一歩後ろに下がったが――
次の瞬間、腹にナイフが突き刺さった。
「あッ??」
驚いて、僕は男を突き飛ばす。
玄関で倒れると、男は近づき馬乗りになる。
「こんにちは……ツルギヤキイシさん。 あっ! 本名がいい? 〇〇〇〇さん 」
「なん……で、知ってるん……だ」
声を出すだけで焼ける痛みを我慢して男を見ると――
被っていたフードを男が外した。
「お……まえ」
「おぉ! 俺の事、 覚えてる感じか! いやぁ嬉しいねぇ〜。 依頼で人生ぶち壊した男の顔なんて覚えてないのかと……」
「依頼……されたから…やった…まで…。…証拠…集め……て…社会…的に……殺して…何が……悪い?」
ニヤリと笑ってやれば、男は怒ったのか青筋を立てる。
「えぇー状況分かってない感じぃ〜」
そう言って、何回も腹を繰り返し刺す。
「ぁあああああああああああ!!!」
「アハッ、いやね別に怒ってないよ。たださぁ触ったよな。――あの案件に」
(案件……なんの事だ……)
「とぼけんなよぉ〜」
そう言って、胸を男が刺してくる。
骨を砕かれる音が聞こえ、肺に血が溜まる感覚がして気持ち悪い。
口の中に溜まった血を吐き出すと、一瞬ぐにゃりと石の天井が見えた……。
幻覚かと思い瞬きをすると――
△▼△▼
その一瞬で、知らない天井がはっきりと見えた。
(幻覚……か? )
体を起こしてみると、さっきまで家にいたのに、今は知らない洞窟の中だ。
「どうなって――は?」
状況を整理しようと頭を抱えた時だ。
(痛みが……ない……)
刺された筈の腹に手を当てる。
「アハッ、傷がない……なんだこれ? 」
その瞬間、洞窟の奥から何かの気配を感じた。




