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幼馴染でセフレのあの子はボクが先に好きだったのに!  作者: 星の内海
第一章 幼馴染でセフレのあの子はボクが先に好きだったのに!
7/60

ナゲットとシェイクとポテト

「ええと……どうなてんの?」


 登校中にのんちゃんと出会った。

 彼女は唖然とした表情でボクら三人を見ている。


「どうって、三人で登校してるんだよ」


「えーと、スズっち魂抜けてね……?」


 のんちゃんが片手で額を抑えた。

 三人でお泊りした翌日。

 スズちゃんをセンターに、ボクが右腕、マリちゃんが左腕に組み付いて、ボクらは三人で仲良く登校していた。

 スズちゃんはといえば朝からずっと放心状態だ。


「野々宮先輩ですね? 初めまして。如月茉莉也です。よろしくお願いします」


 と、茉莉也ちゃんがスズちゃんの腕を組んだまま深々とお辞儀する。


「ああ、野々宮清美です。よろしく……」


 と、挨拶を返すのんちゃん。それでも困惑の表情は消えない。


「端的に言うと、キープちゃんから公認の2号に昇格したってところかな」


「……もうええわ。好きにして……」


 ボクの言葉に、のんちゃんはもう考えることをやめ、そのまま先に登校していってしまった。

 ボクら三人はそのまま登校し、この日を境にスズちゃんの学校でのあだ名は、『失恋王』から『地獄の二股女』に変化していった。




 ―――




 その日はすべてのテスト返却が終了し、いよいよ登校日は残すところ明日の終業式だけとなった。

 幸い、ボク、スズちゃん、のんちゃんの三人とも補習を回避し、無事に夏休みを迎えられる運びとなった。


「あ、スズちゃん。今日お母さん夜に用事があるから、ゴハンは外で食べてきて、だって」


「そうなの? じゃあどこか食べに行きましょうか。部活は昨日が一学期最終日だったし、折角だから三人で行く?」


「あーしはパス。今日もバイトなんだー、ごめん」


 と、手を合わせるのんちゃん。


「残念。じゃあ二人で行きましょうか、ネコ」


「うーん……」


 ボクは少し考えて、


「部活ないんでしょ? 折角ならマリちゃんを誘おうよ」


 と提案した。




 ―――




「よーし、モバイルオーダーするよ。二人とも食べたいの選んで」


 そんなわけで放課後、ボク、スズちゃん、マリちゃんの三人で駅前のマクドにやって来ていた。


 ソファ席を選び、ソファにスズちゃんとマリちゃん、ボクはスズちゃんの対面の椅子に座る。


「わたし、フィレオフィッシュセットをシェイクのストロベリーでお願いします」


「私はハワイアンバーガーにしよ。セットと、単品でナゲット追加して頂戴。飲み物はコーラね」


 ボクはマリちゃんとスズちゃんの注文を入力し、続いて自分のも入力する。


「ボクは照り焼きバーガーのセットと、ポテトはシャカシャカに変更しよ……っと」


 モバイルオーダーを入力し終わり、あとは待つだけとなった。


「ネコ先輩、待ってる間にお金渡しておきますね」


 と、マリちゃんが鞄を漁って財布を出そうとする。


「いいよ、マリちゃん。どうせお母さん持ちだから」


「でも、悪いですよ」


「いいからいいから。後輩はこういう時奢られておくものだよ」


「むう……じゃあ今度何かでお返しします」


 と、マリちゃんは鞄から手を離した。


「さて、じゃあマリ、夏休みの予定でも決めておく?」


「はい! テスト終わったら決めるって約束してましたもんね!」


 スズちゃんの提案に、マリちゃんは嬉しそうにスマホを取り出し、カレンダーアプリを開く。

 いつの間にか、スズちゃんのも茉莉也ちゃんのことを『マリ』と呼ぶようになっていた。


「マリはどこか行きたい場所ある?」


「はい! わたし、海に行きたいです!」


「海いいわね。どうせなら泊りで行きましょうか」


「はい! あ、っと……」


 と、マリちゃんがボクに視線を向ける。


「泊りなら……ネコ先輩も行きませんか?」


「ボクも?」


 ボクはきょとんとして、マリちゃんに視線を返した。


「はい。その、泊りですから……ほら……」


「マリちゃ~ん」


 ニヤニヤ、とボクは自分の頬が緩むのを感じた。


「む、来ないなら二人で行きますけど」


「ふふ、冗談冗談。本命ちゃんの許しが出たから、ボクもついてっていいよね、スズちゃん」


「ああもう……勝手にして」


 スズちゃんは両手で頭を押さえる。

 そうこうしているうちに、テーブルオーダーの注文が届いたので、予定決めもそこそこにボクらは食べ始める。


「あ、ナゲット食べていいわよ」


 と、スズちゃんはナゲットの箱を開けてボクらの真ん中に置いた。


「わ、ありがとうございます」


 マリちゃんは素直に喜んでいる。

 ボクはすかさず、


「じゃあスズちゃん、代わりにシャカシャカポテトあげる。はい、あーん」


 と、ポテトを2本、スズちゃんに差し出した。


「あむ。ありがと」


 スズちゃんがボクの手から直接食べるのを見て、マリちゃんが驚愕で目と口をかっ開く。

 ふふ、気づいたようだねマリちゃん。ボクはスズちゃんがナゲットを分け合うのを見越してポテトを変更したのさ。一方キミはスズちゃんと同じドノーマルのポテト。それであーんすることはできまい。


「……!」


 マリちゃんは慌てて自分のトレーの上とスズちゃんのトレーを何度も見比べる。

 そして自分のシェイクのカップに手を伸ばし、それをスズちゃんに差し出した。


「先輩、じゃあ私のシェイク一口どうぞ!」


「あら、ありがと」


 ズズ……とスズちゃんはストローを咥えて一口啜る。


 なるほどその手があったか! しかも間接キスまで成立させるとは……!

 マリちゃんを見ると、ボクのほうを向いてニヤリと笑みを浮かべた。


「く、スズちゃん。ボクのポテトもっと食べて」


「あむあむ」


「先輩! シェイクもっとどうぞ」


「ごくごく」


「スズちゃん! 照り焼き一口食べない!?」


「スズ先輩! 私のフィレオフィッシュも!」


「んんんむぐぐぐぐ……」


 ヒートアップして口に食べ物を次々突っ込んでくるボクらに、スズちゃんは目をぐるぐる回してしまうのであった。




 ―――




 結局ボクらはそれぞれ自分の分を半分以上スズちゃんに食べさせたため、スズちゃんの頼んだハワイアンバーガーを半分こして分け合うことになった。


「改めて海の予定なんですけど、場所は伊勢志摩に行きません? 私、ここの水族館が大好きで」


 と、マリちゃんがスマホで水族館のHPを開いて見せてくれた。


「鳥羽シーパラダイスだね。ボク行ったことないや」


「ぜひ行くべきですよ! めちゃめちゃ広くて楽しいです!」


 と、マリちゃんが力説する。


「じゃあ朝早く行って、一日目に海水浴、二日目に水族館ね」


 スズちゃんが纏めて、旅行の日程も決まった。

 その他、買い物や個別のデート、勉強会などの日程も決まり、ボクらの夏休みの予定表はいい感じで埋まっていった。


「じゃ、今日はこれで解散しましょうか。マリ、送っていくわ」


 店を出て、ボクとマリちゃん、スズちゃんの三人で向かい合う。


「いえ、大丈夫です。すぐそこが駅ですから、一人で帰れます!」


「そう? 気を付けて帰るのよ」


「はい、お二人とも、今日はありがとうございました」


 と、マリちゃんは深くお辞儀をして、駅に向かっていく。二、三歩歩いたところで一度振り返り、


「……あの、今日はしませんよね……?」


 と眉をハの字にして問いかけてきた。


「しないしない。安心して帰りなよ」


 という僕の言葉に、もう一度軽くお辞儀をして、今度こそマリちゃんは去っていった。

 マリちゃんが駅に入るのを見届けると、ボクらも帰途に就いた。


「……ねえ、ネコ」


「なあに? スズちゃん」


「なんだか、この1ヶ月半で私たちの関係、目まぐるしく変わっていったわね……。正直、これでいいのかな? ってちょっと疑問はあるんだけど、でも」


 スズちゃんはボクの顔をじっと見て、一度頷く。


「ありがとう。少なくとも二人が仲良くしてくれていて、私は嬉しいわ」


 その言葉に、ボクも笑顔になる。


「うん。いつかは終わるかもしれないけど、ボク、この関係が好きだよ」


「いつかは……ね」


 スズちゃんは目を細めて、また正面をまっすぐ見て歩き続けた。

 少なくとも、今はこの関係を楽しもう。大好きなスズちゃんと、可愛いライバル。大好きな友達もいる。

 スズちゃんが望んでいた青春の形とはだいぶ違うかもしれないけど、ボクはとても充実していた。


 やがて、二人の家があるマンションにたどり着く。

 エレベーターに乗って、いつも通り同じ階で降りる、


「ねえ、()()


 部屋の前まで来て、ボクは帰ろうとするスズちゃんを呼び止めた。


「なあに? ネコ」


 微笑みながら振り返る彼女に近づいて、ボクはその唇に自分の唇を重ねた。


「――」


 驚いて固まっているスズちゃんから離れて、ボクは口元に人差し指を立て、「内緒だよ」と言って、自分の家のドアを開けた。


 明後日からは夏休み。

 きっと、今までの夏休みよりもずっと刺激的で、素敵なものになるはずだ。

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