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死神ダンス  作者: ho-ma
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第一話

「いやいやいやいやいやいや」


高速で顔を振りながら、怒涛のツッコミを繰り返す近所では変わり者で有名な男の子。

顔を真っ青にしながら、いつもと違う光景にあたふたしている訳は、


ご紹介します! と言わんばかりの動きで、足の無い半透明な、謂わゆるお化けをひき連れて、しっかり全身が見えるベットの前に浮かぶ少女。


ただし、その少女は大きな鎌を持ち、一見すると美少女に見えるギャップが相まって一際異様な立ち姿をしているのである。


「お、お前、そ、それ、ってか、あれ? えと、とにかく何から突っ込めばいいのか情報過多だわ!」


「突っ込むだなんて破廉恥だわ!貴方様は言ったじゃないですか。一緒に踊ってくれるって」


「そ、それは言った? 言った記憶はないけど、だからなに?! 君はお化け? 見えてるけど、浮いてて鎌持ってて、、やはりお化け? 

んで、お化けと踊りって、わ、わけがわからん」


「踊るって言うのは、死神用語で協力するってことは常識よ?」


「しるかーーーー!! 死神?? しるかーーー!」


「勉強不足でしたわね。ふふふっ」


「なにがーーーー?! ってか、死神って誰が? 君が? なんそれっ!」



「11月11日の金曜日は死神の唯一の休暇だから、普通は街中ブラついてますよね?」


「そう、なのか」


「ってか、死神知らなさすぎて流石に耳を疑いますね? ちゃんと生きてました?」


「生きてたし! 死神って一般的じゃねーし!」


「変な人ですねー? とにかく口頭も契約ですから、ほら、除霊してくださいな」


「で、できるかー! いやできる‥‥‥」


「貴方の前世は除霊師さん。この世界ではごく稀な能力ですので、私にとって非常に便利なのです」


えっへんポーズで巨大な鎌を地面に打ち付ける様子は、脅迫にもとれるが、少しだけ、ほんの少し可愛いなと思わせられる。


そう、俺は前世の記憶を持つ、いや能力も合わせて転生してしまった元除霊師。

名前や転生理由なんかも記憶にはない。

時々、ふとした拍子に記憶を思い出すような感じかな。


こっちの世界では、前世で流行った魔法やスキルなんて物はないが、まさに中世ヨーロッパのような生活様式だ。ヨーロッパなんて行った事ないがな。


「うるさいなぁー。まーたリュートが叫んでる。そんなんだから皆んなから白い目でみられるんだよ?」


リュートの部屋の扉から、ヒョイと顔を出す金髪の女の子。年頃なのか少しニキビがあるが、端正な顔立ちで、面倒見のいい可憐な女の子だ。


「げっ! カレン! いや。あれ? 見えないの?」


「またー? お化けなんていないっていつも言ってるじゃん」


「いや。まー、そうなんだけど‥‥‥」


そう。俺には前世の時からお化けが見える。

今も昔もお化け見えるおかしい奴対応をくらっているわけだが、死神も見えないか。


「もう15歳にもなって来年は大人なんだからね。しっかりしてよ。先に学校行ってるから遅刻したら駄目だよ」


「わ、わかった」


こうやって毎朝起こしに来てくれる訳だが、さて。


「話終わりましたか? はい。除霊」


「はぁー。わかったよ」


手のひらを、お化けに向けて目を瞑る。

お化けを意識しながら無心になるというか、意識を繋げるイメージを持つ。と、


お化けの意識が流れ込んでくる。


お化けとは、どのような存在なのか。

存在といっても存在しない。

ただ、強烈な念の塊、想いの強さで残っている思念であるわけだが、それを除霊というか、無くしてあげるには、思念の共有と理解が必要なわけで、、


「ふー。終わったぞ? はぁー。結構可哀想な人生だったわ。で、死神さんと俺ってどこで会ったっけ?」


「あらあら。覚えてないのですか? 今から12年前に、裏の庭で遊んであげたでしょ?」


「3歳の頃なんて覚えてねーわ」


「私は覚えております。その時に一緒に踊ろうとお声かけしましたのよ」


「無効だ。無効。意識不明だわ」


「でもメリットもたくさんあるのですが」


「メリット? ほんとかよ」


「貴方の寿命、ほんのチョッピリ延長サービスとー。不意の事故を予知出来る能力あげるのとー。常に私が近くにいるのとー」


「まてまてーい! ほんのチョッピリってなんだ?」


「3分ほどかな?」


「いらんわ。いや、いる。けど、弱いわ! 予知能力は助かるな。が、お前はいらん!」


「だが断る! って流行ってましたよね?」


「確かに前世レベルの昔に流行っていたような」


「と言う事で、私の自己紹介は2回目ですが特別に。改めましてナミと申します」


「はぁ。ってか常に俺と一緒にいてもさぁ。死神って魂を集めるんだよな? できなくね?」


「私という存在は、概念なのですよ。なので、全てに存在するのです!」


「‥‥‥あっそ。いっぱい居るってこと? よくわかんね。で、カレンにも見えてなかったし、一般的には見えないわけだな?」


「死ぬ間際に見える事がありますね」


「あるあるだな。しかし見ためは少女なわけだし、恐怖の対象ではないか」


「それは見る者によって変わりますよ? 概念なので」


「なんじゃそら。黒目で長い黒髪の和風美少女にしか見えん」


「変態ロリコン野郎ですね。概念ですよ?」


「くっ! なにゆえにセーラー服を!?」


「やめてっ! 私をどうする気!」


「ルーズソックスは正義である」


「じじい死ね」


と、まぁこれが死神ナミとの二度目の出会いとなった訳だが、


「やっべ! 遅刻する!」


ここから波瀾万丈なリュートの生活が始まるらしい。とな。



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