13. 採用面接
採用面接はエレーナのアイデアだった。
「能力持ちに限って採用するの。
私たちの能力だって一人だと何の役にも立たないけど、二人ならとんでもないことになった。
きっと同じように、私たちと相性がいい能力を持て余している人がどこかにいるはず。
ここは王国の首都だもの。人探しにはもってこいよ」
とは彼女の言葉だ。
そして面接が始まった。
面接会場と化したエレーナの大家宅の居間へ、天井にあたらないよう背をかがめた巨漢が入ってきた。
ボロボロのソファに腰かけようとすると血相を変えた大家に「あんたが座ったら壊れちまうだろ! 床にすわっとくれ!」と怒られたので、男は体育座りの格好でルートたちと向き合った。
「で、では面接を始めます」とルート。「カリーナ、さん……?」
「ああ」
ルートの胴体くらいありそうな腕を抱え込んで男、カリーナは答えた。
「どう見てもカリーナって体格じゃないだろ」との言葉がルートの喉までせりあがったがこらえた。
「カリーナさんの強みはなんでしょう?」
エレーナが尋ねる。
彼女の提案通り、応募要件には『能力持ちであること』を明記してある。
したがってこのカリーナも何かの能力を保有しているのだ。
「俺は、なんでも粉々にできる。それが能力だ。銀も鋼鉄も、ダイヤも。両手を使うだけでぺしゃんこさ」
正直事業にどう結び付ければいいのか分からなかったものの、ルートはひとまず「おお」と感動してみせて、極めて小さなオリハルコンを見せた。
「マジか、オリハルコンかよ…!!」
「カリーナさんにはこのオリハルコンの“価値”を上げてもらいたいのです」
ルートが言った。
「我々は長期的な視点で、莫大な利益を見込んでいます。そこに向けて協力しあっていくうえで――」
「ふんぎごごごごごごごご!!!!!!!」
「……あ、もう初めてらっしゃる……」
語り始めたルートをガン無視して巨漢はオリハルコンを両手で強烈に圧迫し始めた。
だが……
「ダ、ダメだ……ゼエ、まるで、ヒビ一つ入らん…ゼイ……ハア……」
「『オリハルコン以外はつぶせる腕』……と」
冷静に紙に面接の情報を書き込んでいくエレーナの容赦なさにルートは笑いをこらえた。
カリーナがとぼとぼと背を向け帰っていくのを見届けてから、二人は巨漢の印象について話し合った。
「うーん、オリハルコンつぶせないかあ……。ちょっと期待してたんだけどなあ」
「不採用」
断言した妻にルートは驚きを見せた。
「お、どこがダメだった? やっぱり腕っぷしの足りなさ?」
「名前が被るじゃない。エレーナとカリーナ。混乱するわ。あなたが寝言で間違ってカリーナの名前でも呼んだら私、暴れちゃうかも」
「ハハハ! なるほどね、ハハハ……、は………………」
冗談と思い笑い飛ばそうとしたルートだが、微動だにしないエレーナの真顔を見てだまった。
急いで話題を反らそうと思った。
「次お願いします!」ルートは大家に叫んだ。




