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12. 【急募】金貨2万枚を3週間で稼ぐ方法

 ついけし12話


「金貨2万枚なんていくらなんでも無茶よ……! 少なくとも3週間は絶対に無理! せいぜい3か月か4か月はないと――」


 思わず席から立ち上がったエレーナだが、直後にふらついてしまう。

 ルートは予期していたかのように彼女に手を貸し、ゆっくりと座らせた。

 彼もまた、座るときには半ば倒れるようだった。


「……ごめんなさい。慌てちゃって」


「いいんだ。あまり無理はしないようにしないと」


 彼らはここ三日ほどで総計20個ほどのオリハルコンを生成していた。

 内10個はルートがエレーナの能力を気づかせた際に。

 そしてもう10個は昨晩できたものだ。


 問題は能力の酷使か、単に不慣れだからか、二人の体には異様に重い疲れが溜まっていた。

 それこそ立ちくらみがするほどに。

 何のリスクもなく使い倒せる能力ではないということだ。


「けれどルゥもわかってるでしょ。私たちの生産能力には限界がある。3週間で金貨2万枚ほどのオリハルコンを生成するのはとても無理よ」


「うん、同感だ。何か方法を考えないと。オリハルコンを利用した二次的な商売とか。例えば……レンタル業だったり加工して宝飾品にしたり」


 ルートの言葉をエレーナは肯定したが、直後にあきらめたように言った。


「なら人手がいるわ」




『セシル・エレーナ商社面接会場』と書かれたタペストリーが、その下で壁際に座るルートとエレーナの頭上に吊るされている。


 滞在しているホテルの一室を使うわけにもいかず、会場はエレーナの大家の自宅を貸してもらっていた。

 大家とは言えど、上の階のエレーナの部屋の惨状から察せる通り、上等な部屋とは言い難かった。

 それでも快く貸してくれるあてはここしかなかったのだ。


「まさかエレーナが結婚するなんてねえ。あたしゃ嬉しいよ。この先どうなることやらと思っていたからね」と大家はハンカチで目元を抑えていたものだ。


「さて、大家さんも手伝ってくれることだし、そろそろ始めましょ」


「エレーナ、面接の経験は?」


「愚問。あなたは?」


「ない!」


「まあ、頑張りましょ……」


 そして面接の時間が来た。


「ちょっと様子を見てくるわね」


 エレーナが席を立ち、玄関へと歩いていく。

 外へ少し顔を出して面接待機者たちを見ると、3人いた。


 手前から、「俺は破壊神の生まれ変わり」とつぶやき続ける巨大なマッチョ、石像のように微動だにしない落ち着き払った老婆、滝のように汗をかきガクガクと緊張した身なりのいい少女だ。


 候補者たちを確認したエレーナは扉をそっと閉めて、再び夫の隣に腰かけた。


「どうだった?」と問う夫に彼女は「変態とババアとガキ」とため息で返した。





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