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007 二度目の検査

 口の中にできた腫瘍については、特に悪いものではないという結論で胸をなでおろした私だったけれど、新たな疑惑が浮上してしまい憂鬱な日が継続中。

 やっと検査結果が出てすっきりしたところだったのに、またしても『癌だったらどうしよう』『もしかしてまた手術だったりして……』と良くないことばかりが頭を締める毎日。


 流石に精神的ダメージが強くて、何もする気が起きない……。普段、趣味で小説を書いたりしているのに全く書く気にならない……。そんな中でも、ちょっと嬉しいことがあったりして何とかかんとか毎日をやり過ごしていた。

 そして迎えた、二回目のMRI検査……。まさかこんなに早く、二度目を経験することになるなんて……本当に人生って何があるかわからないなーって浸ってしまった。


 ですが、前回とは違う私! なんてったって二度目だから! 今回は、絶対に極度の緊張状態に陥らない。リラックスして力を抜くんだと自分の中で宣言して検査室に向かった。


 前回と同じように台の上に横になる。なんだけど、今回は頭の向きが違ったのよ。撮影する場所によって、撮影の仕方も変わるんだなって新たな発見。

 前回は胸から上の頭周りだったけど、今回は肝臓を中心にお腹周り。横になる体勢も、前回は直立不動だったけど今回は両腕を上げる万歳の姿勢。だから、カチコチにならず自然に力も抜けた気がする。


 その姿勢から、左腕にいつもと同じように造影剤の注射を打った。なんかもう三回目だからね。ここまではすっかり慣れたよね。最後に手に連絡ブザーを握らされていざ筒の中に。

 前回みたいに、動揺することなく深呼吸してリラックスモードの私。気持ち的に余裕だった。どう考えても、前回緊張しすぎだったなと反省する私。


「では、検査始めまーす。何かあったらブザー鳴らして下さいね」


 頭の方から検査技師さんの声がして、機械が動き始める。前半は、造影剤無しだからなんとなく磁気によって体が温かくなるくらいで特に問題なし。ただ、今回はお腹部分の撮影だったから、やたらと呼吸の指示が多かった。


 吸って吐いて止めて下さい。大きく吸ってー吐いて―。吸って吐いて吸って吐いて吸って吐いて。色々なバージョンがあるのよ。機械音による指示通りに呼吸していたら、あっという間に前半の撮影は終了。


 やっぱり二回目ともなると、全然違うなとなんだか誇らしくなってくる私。あと半分、ちゃっちゃと終わらせて今日は早く帰ると気合を入れる。そして検査は、造影剤を入れての後半戦に突入した。


「では、お薬入れて行きますねー。何かあったらブザー鳴らして下さい」


 何度も聞いたこのセリフ。了解了解と万歳体勢の私は、ブザーを持っているはずの手を確認する。


 が! なんと、検査技師さんがブザー握らせるの忘れてるじゃないか! どうしよーと思っていたのもつかの間、ガーという音とともに検査が始まっちゃったのよ。

 でも今回は余裕ぶっこいてた私だったので、まっいいかとそのままスルーしてしまった。皆さんは、絶対にこんな真似はしちゃ駄目だぞ。


「では、今度は長く呼吸を止めてもらうこともあります。さっきみたいに、吸って吐いてを繰り返してもらったりもします。ちょっと難しいかも知れませんが頑張って下さい」


 さっきとは違う言葉が筒内に響きます。造影剤の薬も、今回はリラックスできているからそこまで不快感は感じない。呼吸くらい余裕でしょと調子になっている私。


 筒内に機械音で、「吸って下さい。呼吸を止めて下さい」とアナウンスが流れる。言われた通りにするんだけど、息を止める時間が本当に長くてこれいつまで止めてるのよ? って分からなくなっちゃって途中で息が漏れてしまう。

 途中から結構必死だった。息を止めるやつが終わると、次は吸って吐いてを繰り返す。アナウンス通りにやっているつもりなんだけど、これでいいのかわからなくなってくる私。


「では、これで終了です。映像確認しますね」


 看護技師さんからのアナウンスが流れてきて、終わったーと喜ぶ私。暫く待つともう一度アナウンスが響き渡った。


「すみません。最後の吸って吐くのもう一回です。もっと短いスパンで、吸って吐いて吸って吐いてを繰り返して下さい」


 そしてもう一度動き始める機械。そんなーと悲しむ間もなく二度目のチャレンジ。今度は、さっき言われたように短く吸って吐いてを繰り返す。

 これ結構何回もやらされて、まだなの? ってちょっとイラっとするレベル。検査でこんなに疲れるって私まだ元気だからいいけど、これ本当に重い病気で検査する人大変だなとしみじみ思ってしまった。


 二度目は無事に撮れたみたいでそれで検査は終了でした。今回もやっぱり検査時間は40分ぐらい。まじで長い……。お年寄りとか体力無い人は、重労働だなとか考えちゃったよ。


 それと、検査場所が違うと検査方法もかなり違うんだなって知った。ってか、何も知らなかった頃は、全身をくまなく一気に撮影するのかと思ってた。そんな訳なかった。

 それだと多分、膨大な時間がかかるし膨大な撮影枚数になって確認作業が大変なんだろうね。


 なんでも、経験してみないと知らないことが本当に多いのだなと改めて感じた。


 MRI検査をこれからやる人へのアドバイス。


 ①緊張しないでリラックスする。

 ②力を抜く。始める前に深呼吸。

 ③検査時間が長いと覚悟する。


 これを実践していただければ、筒の中でパニックになる恐れは減らせるのではないかな。この文章が誰かの役に立つことを祈っています。


 この後は、エコー検査に行ってお腹をこれでもかとぐりぐりされながら撮影された。お肉が付き過ぎで、撮影しづらかったのでしょうか……涙。心の中で、「痛い……痛いんだけどー」って終始叫んでおりました。大人だから我慢したけどさ……。

 ただでは帰らせてくれない病院だなって、帰り際に遠い目になったよね。


 次回、入院前の最後の診察に続く。



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― 新着の感想 ―
一昨年から昨年まで九ヶ月ほど入院しまして MRIやりましたが 手術後だったのと密閉型のへッドフォンで環境音楽が流れリラックス( 術前のは意識不明だったので わかりませんが )
上手な語り手の医者話って面白いですね! MRIもCTも初めて受けた時は緊張したのを思い出しました。昔は血管に入るところが金属でできた点滴の受け?(管を付け替えるところ)をつけられました。私は血管細くて…
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