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第1話


俺____ アルシェ・ルフォードはアカデミーの長に言われた通り、魔法石を首にかけてアカデミー内にある広場に来ていた。


アカデミーのオリエンテーションというので何をするか気になったが、どうやら使い魔召喚らしい。

成功しなくても落ち込まないように、という訳の分からない保険をかけられ説明後にそれは始まった。

俺の順番は真ん中ぐらいだが、見る限り成功率は5割ぐらいだろうか。


「なぁなぁ、名前なんて言うの?」


これはクラス分けにも関わってくるらしいし、頑張りたいところだ。

でも努力だけでなく、使い魔との相性とかも関わってくるらしいし…。


「ねーえー、聞いてる?」


目の前で手を振られて驚いた。

先程から大きな声で何かを言っていると思ったが、俺に話しかけていたのか。


「悪い、俺に話しかけてたのか」

「君結構酷いこと言うね。僕頑張ってたのに」


話しかけてきたのは、明るい茶髪に緑の瞳を持った男だった。


「さっきからずっと声かけてたんだけど、全然反応しないから無視されてると思って悲しかったよ」

「すまない」

「いいよいいよ。僕はジニア・レヴァンタ。君は?」

「俺はアルシェ・ルフォード。よろしくな」

「うん!よろしく!」


こいつは元気だな。

こんな奴と一緒にいたら疲れそうだが、悪くないかもしれない。


「アルシェってたしかアカデミー入試で主席だったよね?」

「…なんで知ってるんだよ」

「先生たちが話してたの聞いちゃった。『アカデミーが始まって以来の天才だ』って褒めていたよ」


個人情報の管理どうなってるんだよ。

あと俺は天才という言葉が1番嫌いだ。


「俺は天才じゃないよ。小さい頃からめっちゃ頑張っただけ」

「そうなの?何か夢とかがあってとか?」

「…どうしても会いたい人がいるから」


そういうとジニアは不思議そうに首を傾げた。

まぁ俺の記憶のこととか言っても理解してもらえるとは思えないから黙っておく。


「ジニア・レヴァンタ、前へ」

教師の声が広場に響く。

いつの間にか結構進んでいたらしく、ジニアの番だった。


「呼ばれちゃった~。じゃあ同じクラスだったらよろしくね~」


そういって彼は魔方陣の中央まで進み、そこに杖を突いた。

すると彼の足元から魔方陣が光り出す。

そしてその光は徐々に大きくなり、彼を包み込んだ。

光が消えると、そこには黒色の毛並みを持つ狼がいた。


「おぉ、成功したみたいだな」


ジニアはその狼にランサと名付けた。

名前をつけるというのは最も最初の契約であり、最も大切な契約である。

召喚された生き物が名前を受けるというのは契約を受けるという意思の表れでもある。




ジニアと狼のランスが先生の指示で召喚獣持ちのクラスに移動した所で俺の名前が呼ばれる。


「アルシェ・ルフォード、前へ」


魔方陣の中央まで進めば、生徒たちからだけではなく教師陣からも鋭い視線を感じる。

やりにくいからそんなに見ないでほしい。

そう思いながら首から下げていた青紫色の魔法石が着いたネックレスを外して手に持つ。

召喚の為には杖を使うことが多いらしいが、残念ながら俺は杖などという片手が塞がるようなものは使わない主義なんだよ。


「アルシェ・ルフォード。それは何ですか」

「自作した魔法石をつけたネックレスです。杖の代わりに使用します」


魔法石を作ることができる生徒を知らないのか怪しまれる。

確かに稀な技術らしいが、できるように何度も練習したんだよ。

手を出されたので、仕方なく魔法石を付けたネックレスを渡す。

教師が何人かで検査しているが、何人で検査してもどうせ変わらない。

予想通り問題なく返却される。


「問題ないため使用を許可する」

「はい」


教師の顔を見るが探している人の顔ではない。


小さくため息をついて再び魔方陣の中心に立ち直す。

ネックレスの鎖の部分だけを手に持ち、魔法石は外気に触れさせておく。

目を閉じて集中すると辺りに風が発生する。

その風はどんどん強くなり、俺の周りを渦巻くように吹き荒れた。















しばらくすると風は止んだ。


目を開けると、そこには赤と青のオッドアイを持った美しい白い虎が立っていた。


「るい…」


白い虎は一瞬躊躇するように体を揺らした後、恭しく頭を下げてきた。


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