表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/16

転生 第3話


「まぁいいでしょう。では映像を見てください」


どうやら使い魔召喚が始まっているようで、生徒らしき人が魔方陣の中に杖を突いて立っていた。

魔方陣が光ったと思ったらそこには黒い毛並みをした狼が現れた。


「お、成功しましたね~」


神様は面白そうにそれを見ていた。


「綺麗な狼ですね…」

「瑠衣さんはあの狼を超える美しさを持っていますよ。人間の姿や半獣人の姿の髪色は白虎の時の毛色を引き継いでいますし、目もオッドアイは珍しいんですよ」

「そうなんですか。本だけでは得れない情報もまだまだありますね」

「特に常識は時代によって変わりますからね」

「…あの、使い魔って私みたいに人間になったりするのは当たり前なんですか?」

「一部は可能かもしれません。でも普通は無理ですね」

「はい?」


神様は何でもないように答える。


「たしかに使い魔に選ばれる生物は魔力を持っています。しかしそれは個体差によりますし、そもそも召喚主の力によって召喚できる生物の強さが決まります。これが使い魔召喚の成功率が5割の理由ですね。そもそも使い魔を召喚できる実力を持っている人が半数ほどなんですよ」

「待ってください。じゃあ私が先輩に召喚されるのはまずいんじゃ…私結構強くなっちゃったんですよね?」


そういえば神様は面白いものを見るような目でニヤニヤしている。


なんだよ、気味が悪い。


めっちゃ怖いんですけれど。


「…これは黙っておいた方が面白そうですね」

「え?」

「いやいや、あなたたちは似た者同士ということですよ」


神様は1人で悪い顔をして笑っている。

なんなんだこの人。


「ほら、そろそろアルシェさんがあなたを呼び出すようですよ」


映像を見れば、魔方陣の真ん中に立つ先輩が映されていた。

しかし先ほどの人のように杖は突いておらず、手には青紫色の石がついたネックレスが握られている。


「ほぉ、魔法石ですか。あの若さであれを作ることができるなんて流石ですね」


神様は何かに気づいたらしいが、何も言わなかった。


先輩が立っている魔方陣が輝きだした。


それを見て、自分が呼ばれているのだと必然的に分かった。

唐突に神様は背伸びをして、手のひらで目隠しをしてきた。


「え、何ですか!?」

「じゃあ瑠衣さん」


目隠しが解かれると目の前には大きな扉があった。

先が真っ白な光に包まれており何も見えないが、不思議と恐怖はなかった。


「あの扉を潜ればあなたの異世界転生が始まります。私のサポートはここまでです」

「…今までありがとうございました」

「行ってらっしゃい」

「行ってきます」


ゆっくりと扉に近づけば、自然と身体が吸い込まれていく。

中に入ると扉は勝手に閉まった。

何となく先に進むと、小さな黄色の光が浮いている。

それに触れると、誰かの記憶が流れ込んできた。


「これ、先輩の記憶…?」


流れてきた記憶の中により、先輩の今日に至るまでの記憶が共有される。


「そうか、ここは先輩の心の中か……」


記憶をかみ砕きながら先へ進むと、奥に魔方陣が描かれていることに気づいた。

そこにたどり着くまでにはほとんどの記憶は共有された。




『あなたは召喚に応じますか?』




どこからかそんな問いが投げかけられる。

勿論、答えは決まっていた。


「当たり前でしょう。私はそのためにここまで来たんだから」


そのまま魔方陣の中央に立つと、床が抜けるような感覚になる。

反射で下を見れば床が波を打っており、抵抗する間もなくその魔方陣に呑み込まれた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ