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第9話


カーテンの隙間から差し込む朝日に目が覚めた。

欠伸と共に伸びをすれば頭もすっきりする。


「おはようございます」

「おはよう」


リビングに行けばすでにアルシェさんは起きていた。


「よく眠れたか?」

「はい、広さも十分でした」

「それなら良かった。朝ご飯食べに行くか?」

「行きましょう」


昨日のご飯がかなり美味しかったから期待値が高まってしまう。

部屋を出れば、まだ時間が早いからか人はまだ疎らだった。


「先に起きたのなら起こしてくださればよかったのに」


食堂までの道を歩きながら呟くように言えば、アルシェさんは苦笑いを浮かべる。


「急いでいるわけではなかったし、俺も少し前に起きたばかりだったんだよ」

「…そういうことにしておきますね」


そんな話をしていればいつも間にか食堂に着いた。

注文を終えてから席に座れば、昨日と同じような視線に気づく。


「…あ、毛の色。2人きりじゃないので隠してもいいですよね?」

「本当は嫌だけれど気になるなら仕方ない」


許可を取ってから昨日と同じように魔法で黒色に変える。

これで誰も私のことを気にすることはないだろう。


生徒が少ないからか、昨日よりも早く料理が運ばれてきた。


今日の朝食はパンとサラダとベーコンエッグのようなものだ。

一口食べるとその味に思わず笑みが溢れる。


「美味しいですね」

「そうだな」


不愛想な返事だが、表情は柔らかいからきっと味に満足しているのだろう。


「そういえば日中は何をして過ごすとか決めたのか?」

「この近くに何があるとか全く分からないので探検でもしようかと思います」

「そうか。じゃあこれ渡しておくな」


何やら巾着袋のようなものが机に置かれる。

置かれた時の音からして中身は重そうだ。


「何ですかこれ」

「お金だ。何か気になったものを買う時とか昼ご飯とかはこれを自由に使ってくれ」

「悪いですよ!」


返そうとするも、アルシェさんは受け取ろうとしない。


「いいから持っておけ。金銭面は本当に心配しなくていいから」

「……分かりました。ありがとうございます」


仕方なく受け取る。


アルシェさんは満足そうな顔をしていた。


「俺はこれから授業だけれど、呼び出すこともあるかもしれない。そのネックレスに召喚を予告する細工を仕掛けておいたから反応があったら応答してくれ」

「分かりました」



食事を終えて部屋に戻ると、ちょうど部屋から慌ただしく出てくるジニアさんとランサさんに会った。



「おはよう2人とも」

「おはよ~、2人はもうご飯食べた?」

「あぁ、今帰りだ」

「そっか、じゃあ一緒に教室行こうよ!また後で!!」


アルシェさんの返事も聞かずにすぐに走って行ってしまった。

2人の慌て方からして寝坊したのだろうか。


「…多分ランサは起こそうとしたんだろうな」

「……なんか疲れてましたよね」


朝からのランサの努力に思いを馳せながら私たちは部屋に帰った。



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