第37話 戻らずの森2
沙也加とたすくは、テレビ局のアシスタントが運転する車で戻らずの森へ向かっている。
戻らずの森を危険と判断していた沙也加だったが、断れなかったのである。
2日前、沙也加の探偵事務所にテレビ局の局長が訪れる。
「我が局のディレクターが行方不明なのはご存じでしょうか。」
「はい、彼はここに訪れました、その後、あの森で行方不明になりました。」
「その通りです、彼はあなたを高く評価していました。」
「そうですか。」
「彼の行った森の調査をお願いしたいのです。」
「お断りします、あの森は危険です。」
「それを承知でお願いしています、先生をテレビに出すつもりはありません、報酬もそれに見合った額をお支払いします。」
沙也加は高額を吹っかけて断ることにする。
「このくらいなら考えてもよいですが・・・」
紙に金額を書いて見せる。
「分かりました前金でお支払いします。」
沙也加は意表を突かれる。
「お受けしますが、私の名は表に出さないでください。」
「分かりました、明後日、お迎えに上がります。」
沙也加は、戻らずの森の調査を引き受けることになったしまう。
彼女はたすくに
「今回は仕事に付いて来なくてもいいわ。」
と危険から遠ざける、しかし、たすくは
「危険なんでしょ、付いて行きますよ、僕も少しは力になれるかもしれません。」
彼は同行を譲らなかった。
森に入る前に森の近くの住民に森のことを聞いて回る。
しかし、何もめぼしい情報は無かった
「近くの住民は昔から森に入ることはない」
「森に入ると森から出られなくなる」
「心霊スポットになっていて、毎年、行方不明者を出している」
と住民に恐れられていることが分かる。
森の周りは、自然豊かな民家の点在する山村である。
森へ行く道はないが、捜索隊が捜索した時に分け入った跡をたどって森に近づく。
沙也加はたすくと手をつないでいる。
森の入り口に近づくと、多くの霊が並び行く手を塞ぐ。
「沙也加さんこれって、入るのをやめさせようとしているのですか。」
「言葉までは聞えないのね、帰れと言っているわ。」
2人の後ろを歩くアシスタントは訳が分からず
「何を話しているのですか?」
思わず質問する、たすくが説明する
「霊たちが行く手を塞いでいます、森に行かせないようにしているようです。」
沙也加には霊たちの声が聞こえている
「帰れ~」
「森に入るな」
「来るな~」
霊は口々に言う、沙也加は
「忠告ありがとう、でもこの先に用があるの。」
そして気配を大きくする、彼女は舟戸沙姫の修行で力を増している。
霊たちは道を開ける、こうして3人は森の中に入って行く。




